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19. UVランプとは
UVランプとは「ULTRA VIOLET RAY CURING LAMPS」の略で、一般的には紙器、金属、プラスチックへのオフセット、凸版、スクリーン印刷、プリント基盤の印刷などに幅広く利用されています。
一般的には、一重直管形状の発光管で、両端に電極を備えた放電灯です。
▼ランプの種類
@ 水銀ランプ
石英ガラス製の発光管の中に高純度の水銀(Hg)と少量の希ガスが封入されたもので、365nmを主波長とし、254nm、303nm、313nmの紫外線を効率よく放射します。他のランプよりも短波長紫外線の出力が高いのが特徴で、クリアコーティング関係を中心に使われています。
A メタルハライドランプ
発光管の中に水銀に加えて金属をハロゲン化物の形で封入したもので、200nm〜450nmまで広範囲にわたり紫外線スペクトルを放射しています。水銀ランプに比べ、300〜450nmの長波長紫外線の出力が高いのが特徴で、印刷インキの硬化に使われています。
その他として、水冷ランプ、オゾンレスランプなどがあります。
▼UVランプとオゾン発生について
オゾンは100nm〜210nmの紫外線に酸素が照射されることによって生成されるとともに大気中にも存在しています。オゾンは極めて強力な酸化剤として知られ、また、その有毒性についても論じられて、日本のオキシダントの環境基準は1時間平均値で0.06ppmであり、オゾン濃度に読み替えれば0.05ppm前後と評価されます。
オゾン濃度の職場内における安全基準は0.1ppm以下にすることが推奨されています。普通は0.01ppm程度で臭気を感じるので臭気を感じない程度であれば問題ないと言えます。
※作業安全環境基準では1日につき8時間反復暴露しても健康に障害を及ぼさないと考えられる濃度である0.1ppmに定められている。
※オゾン濃度別による人体影響
0.02〜0.05ppm: 特有の臭いが分かる
0.1〜0.3ppm: 鼻、喉への刺激がある
0.23ppm〜: 気管支炎などの有症率が増える
▼紫外線の人体への影響
UV照射装置から発生する紫外線はインキ硬化に使用するだけではなく、作業者の皮膚、眼に晒しますと夏の太陽を長時間浴びたのと同じ状態になり、炎症を生じます。外部へ洩れる紫外線は極力抑えてありますが、直接見たり皮膚に照射することは避けてください。
※ランプ入力1kw当たり1m3/分の強制排気を行った場合、その排出口でのオゾン濃度は通常の石英を使用した場合
水銀ランプでも: 0.05ppm程度である
メタルハライドランプは: 0.02ppm程度である
▼放電管用石英ガラスの特性
石英ガラスとは高純度の無水けい酸を溶融した単一酸化物のガラスで、水晶を主に原料とした透明石英ガラスと、主に良質なけい石を原料とした不透明石英ガラスとがあります。さらに、化学的処理で不純物を除去していますので99.99%以上の純度のものです。透明石英ガラスは普通のガラスと同様に金属材料などとは異なった特性を示します。
1) 抵抗力および抵張力は表面の状態により著しく差があり、大きいものほど弱くなります。
2) 弾性率、抵抗力、抵張力ともに温度が上昇するほど強くなり、800〜900℃で最高になります。ただし、これ以上の高温になると粘性が低下するため徐々に弱くなり変形しやすくなります。
※透明石英ガラスはその優れた紫外線透過性、耐熱性によりUVランプなどに使われています。
▼UVランプの出力
ランプの能力を表現するのに、総入力(w)を発光長(cm)で割ったw/cmという単位を使用します。通常の高圧水銀ランプ、メタルハライドランプは80w/cm、120w/cm、160w/cmの出力です。
その他
高出力240w/cmランプ・・・より高速化を望まれる場合に適しています。例えば、照射器の設置スペースが限られ、UVの灯数が増やせないときなどに使用します。
瞬時点灯式ランプ・・・通常のランプは点灯から安定するまで約3〜4分間の時間が必要ですが、瞬時点灯式ランプを使用すると10秒以下で安定します。シール、ロータリー、ウェブ印刷などに使われています。
▼冷却方式
@ 空冷ランプ
空気を排気することによりランプの冷却を行っています。紫外線の効率およびメンテナンスの点から水冷式より優れており、通常、空冷ランプを使用しています。
A 水冷ランプ
水冷ジャケット管を使うことにより、ランプの冷却を行っています。水フィルターにより赤外線がカットされ、低温硬化が行われます。
▼水冷式ランプの構造
※水冷式ランプではランプ入力の約6割が水によって除去され、ワークの温度上昇は空冷式に比べ約1/2に減少するため、熱に弱い材料への応用に適していますが、紫外線も高圧水銀ランプの場合9%、メタルハライドランプの場合7%カットされるので硬化率は悪くなります。
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