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版をつくる工程、いわゆる製版工程は手工的、機械的、写真的あるいは電子的などいろいろな方法に分類される。
≪鉛版≫
活字で組んだ版は保存または複版(版を増やす)が困難なので、活字版から紙型をとってこれに活字合金を流し込んでつくった版。輪転印刷では丸鉛版をつくる。
≪電気版≫
鉛版では複製困難な精密な画線の凸版を電気メッキを利用して複製する方法。あまり使われていない。
≪線画凸版≫
活字以外の絵模様の原稿を写真を応用してつくった版。
≪写真版≫
写真印画からスクリーンをかけてつくった版。網版または網目版ともいう。
≪原色版≫
カラー原稿からつくった写真版で、3色インキを刷り重ねて印刷する版。凸版形式としては現在最高級品以外にはあまり利用されていない。
≪電子彫刻凸版≫
電子的、機械的なはたらきを応用して自動的に彫刻した版。現在あまり利用されていない。
≪石版≫
炭酸カルシウムを主成分とした石は水分保持と脂肪分のなじみがよいので、画線部は脂肪分で描画し非画線部は水分をあたえて、同一平面上で印刷を行う。
≪金属平版≫
亜鉛またはアルミニウムの板上に画線と非画線部をつくった版。
≪コロタイプ≫
ゼラチンを版材とし、硬化したゼラチン(画線)はインキを受けつけ、硬化しないゼラチン(非画線部)は水分を吸収して膨潤し、インキを受けつけない。古文書や日本画の複製に適している。
≪彫刻凹版≫
銅版に彫刻してつくった凹版。
≪エッチング≫
薬液を使って画線部を腐食してつくった凹版。銅版を使う。
≪グラビア≫
銅板または版胴にメッキした銅層に写真画像の層をつくり、腐食してつくった凹版。写真の大量印刷に適す。
≪電子彫刻グラビア≫
電子的、機械的な働きを応用して画像を自動的に彫刻してつくった版。
≪スクリーン版≫
網目(スクリーン目)を通してインキを摺り込んで印刷を行う方法。インキの着肉層が厚くガラスや陶器、布地、曲面への印刷が可能。
製版工程の違い
| 手工的 | 化学的 | 機械的 | 写真的 | 電子的 |
凸版方式 | 木版 | 電気版 | 活版 | 線画凸版・写真版・原色版 | 電子彫刻凸版 |
平版方式 | 石版 | 石版・金属平版 |
| 写真平版・コロタイプ | ダイレクト平版 |
凹版方式 | 彫刻凹版 | エッチング |
| グラビア | 電子彫刻グラビア |
孔版方式 | とう写版・スクリーン印刷版 |
| スクリーン印刷版 | 写真利用スクリーン印刷版 | 電子ステンシル製版 |
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