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1) 乾燥
この2種類のインキの最大の違いは「乾燥」です。
UVインキは、紫外線のエネルギーを与えることにより0.2秒という短い時間で強制的に乾燥させます。
一方、油性インキの乾燥は酸化重合による自然乾燥なので、乾燥に48時間もの長い時間を要するものもあります。
また、デリバリーパイルボード上に運ばれてきたときには、すでに乾燥しているUVインキとは違い、油性インキは乾燥していませんので、ブロッキングなどの不良を発生させないためにスプレーパウダーを噴射し、紙をあまり重ねないという対策をとります。
2) 耐性
UVインキは、油性インキに比べて摩擦などの耐性にも優れています。
3) 品質
刷了した刷本を比べると若干ではありますが、油性インキのほうが色調が優れています。
この他、フィルムなどは紙のようにインキが材質に染み込んでいかないために流動性に気を配るなど、油性インキはさまざまな事柄に対処しなければなりません。
インキを乾燥させるためにすぐに次の工程に回せず、保管場所を要するなどの理由からUVインキが好まれます。
4) UV印刷の特徴
とくにUVインキを使ったUV印刷の特徴についてまとめますと次のようになります。
まず、UV(Ultra Violet:紫外線)は、可視光線(光の波長:0.4〜0.7μm)より短波長の波長が0.1〜0.4μmの光で、人の眼で感じとる(見る)ことはできません。紫外線は光なので電磁波の一種です。
電磁波の種類と波長域
UVインキは、この紫外線のエネルギーを利用することによって硬化(乾燥)するインキで、紫外線硬化型インキとも呼ばれています。
▼メリット
・ 有機揮発性化合物を排出しない(原則、無溶剤)のため環境にやさしい。
・ 熱乾燥と比較して省エネルギーである。
・ 瞬間硬化であり、生産性向上、短納期に貢献できる。
・ 設備の設置床面積が小さい。
・ 熱がかかりにくく、熱に弱いプラスチックなど応用基材の範囲が広い。
▼デメリット
・ インキ価格、UVランプ価格が高い。
・ 暗色、厚膜、影の部分の硬化性が劣る。
(硬化速度:紅>黄>藍>墨)
・ 硬化時のインキ皮膜の収縮率が大きく、接着不良を発生しやすい。
・ 瞬間硬化のため、レベリング不良となりやすく、光沢が劣る。つまり、インキが平滑になる前に硬化してしまい、光がインキ表面で乱反射されるために光沢がなくなる。
UV硬化時のインキ表面と光の反射
・ 温度に対するインキ粘度の変化が大きい。
UVインキ・印刷には以上のようなメリット・デメリットがありますが、インキの品質は日々向上しており、また、短納期化も一段と進んでいることから、UV印刷の需要はますます増えるものと予想され、UV印刷を扱えることが印刷業界における差別化の1つになるものと考えられます。
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