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高精度な写真の再現性を生かして、美術書や写真集、フィルム・ビニール軟包材への印刷に用いられています。現在でも雑誌の写真ページなどがグラビアページと呼ばれるのは、以前グラビア印刷で再現していた名残です。
この印刷方式では、印刷しようとする文字や模様などの部分が凸版印刷と反対にくぼんでいる版面を使います。このくぼみにインキが入るように適当な方法で版全体にインキを付け、表面をドクターと呼ばれる装置で拭き取りながら余分なインキを掻き落とし、くぼみに入っているインキだけを残し、そのインキを紙に押し付けて移します。印刷されたところを指で触るとインキの盛り上がりがよく分かります。
印刷の濃い薄いは、くぼみの幅とインキの厚みで表現するため、精巧で美しい印刷ができます。また、偽造されにくいため、各国で紙幣などの印刷に使われています。日本銀行券では、主に肖像やお金の単位を表す数字の部分などの印刷に使われています。
凹版印刷の原理
グラビア印刷は凹版印刷の一種です。まず、コンベンショナル・グラビアと呼ばれる方法があります。写真技術を応用し、原稿の濃い部分や薄い部分を細かい点に分割し、それぞれの点に対応する金属表面を腐食させることによって版を作ります。この場合には、点の大きさ(面積)はすべて一緒ですが、色が濃いところは深く、薄いところは浅くなっている版面が作られます。
もう1つは、電子グラビア方式と呼ばれるもので、色の濃い部分は点の大きさが大きく、深く彫られ、色の薄い部分は点の大きさを小さく、浅く彫られた版面となります。これらは、写真により近い、きれいな印刷ができるので、主に切手や写真集の印刷などに使われます。
オフセットの網点よりも微細な濃淡が表現できるので、写真などの豊かな階調の再現には最適ですが、シャープさにはやや劣るため、細かい文字や細い線などの再現にはあまり向きません。
また、製版コストが高額で版に耐久性があるため、大量印刷には向きますが、小ロットの場合には単価が非常に高くなってしまいます。
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