「印刷」にちょっと触れてみよう! 印刷の基礎知識

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◆ オフセット技術教本[5]...

9. 胴仕立て

胴仕立てには、同径法とトルーローリング法があります。

▼同径法

3胴の仕立てを同じにする方法

※現在のオフセット印刷機は次に述べるトルーローリング法をとっています。

▼トルーローリング法

ブラン胴(ゴム胴)の表面に張ってあるブランケット(ゴム)は圧力を加えれば伸びます。そのため、版の画像よりブランケットに転写された画像の方が大きくなります。この伸びを計算して、ブラン胴を版胴より細くした胴仕立てトルーローリング法と言います。

同径法とトルーローリング法

▼3胴の配置

(例:ハイデルベルグ スピードマスター72V)

3胴の配置

※シリンダー各部の名称と胴仕立ての基準寸法となる基準表
※ギアのピッチ円:2つのギアがかみ合って正しく接触して回るときの軸間距離
※ベアラー(胴枕):ベアラーの直径とギアのピッチ円直径と同じで胴と胴のギアのかみ合いのバックラッシュ(間隔)を保ちます。また、胴仕立ての基準面の役割、胴のカナール(切りかけ部)のショックを防ぐ。
※カットダウン(切り落とし):ベアラー面より胴中の面までのこと。

▼胴仕立ての基準表(ハイデルベルグ)


胴ギアの直径 ベアラーの直径 カットダン量 仕立て上がり量 オーバーベアラー量 仕立て上がりの直径 ベアラー間隔 印圧量
版胴 270.00 270.00 -0.50 0.60 +0.10 270.20 0.00 0.10
ブラン胴 270.00 270.00 -3.20 3.20 0.00 270.00 0.00 0.10
圧胴 270.00 270.00
269.30
1.20
0.04
1.33
0.00
+0.13
+0.35
270.26
270.00
0.00
0.35
0.10

※印刷本機の厚さ0.10mmを加えたときの直径は270.20となり、版胴の仕立て上がりの直径と同径になります。
※機種により仕立ての基準が異なることがあるので必ずマニュアルを参照してください。
※インプレッション(印刷)時において、3胴はベアラーコンタクト(枕の接触)し、印圧量は10/100です。

▼胴仕立ての構成

@ 版胴の仕立てと材料
版材は一般的にPS版が使用されています。

[PS版の厚み]
  0.24mm
  0.30mm

プレート(刷版)の厚みにアンダーシートがプラスされて版胴が仕立て上がります。アンダーシートの厚みにムラが生じないように平滑で圧縮性の少ないものを選んでください。
アンダーシート使用は水を含むと膨潤して厚さが変化したり、シワになったりするので、最近はプラスチックフィルムが多く用いられています。

A ブラン胴の仕立てと材料
ブランケットの厚みで一般に市販されている種類は1.65mm、1.80mm、1.90mm、2.10mmのものが多く、適用印刷により選定してください。
ブラン胴に必要な仕立て上がり量に合わせて、ブランケットの厚さ+アンダーブランケット+アンダーシートの組み合わせで決められます。

※アンダーシートは薄い用紙を数枚重ねて使用するより、厚口の用紙を使用した方が厚さの誤差を少なくできます。
※アンダーブランケットの種類、仕立て寸法よりブラン胴の構成が決まり、硬さが変わってきます。

▼ブラン胴の3つの構成

@ ソフトパッキング
硬さ:65〜70度
ブランケット+ラシャ(布)+アンダーシート

A セミハードパッキング
硬さ:70〜80度
中間軟胴:ソリッドブランケット(通常タイプ)+アンダーブランケット+アンダーシート
中間硬胴:コンプレシブルブランケット(圧縮性タイプ)+アンダーシート(アンダーブランケットは使用しない)

B ハードパッキング
硬さ:80〜85度
ブランケット+アンダーシート

※コンプレシブルブランケット(圧縮性ブランケット=エアーブランケット)の胴仕立ては、最近、コンプレシブルブランケットの品質向上により、コンプレシブルブランケット+アンダーシートのハードパッキングに近いブラン胴構成を行ってきています。
※仕立てた後は、必ずシリンダーゲージで実測し、データとして記録しておくとよいでしょう。

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