「印刷」にちょっと触れてみよう! 印刷の基礎知識

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- 大日本インキ化学工業
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◆ オフセット技術教本[8]...

16. オフセットインキについて

▼インキの硬さ

平版インキは原則として「インキ缶」から「インキ壷」へ直接入れて使えるように品質設計されています。

一般的には、平版インキは下表のように硬さに応じて3タイプがあります。


S(ソフト) N(普通) H(ハード)
硬さ 軟らかい --- 硬い
流動性 ---
ドットゲイン ---

しかし、紙質、印刷速度、刷順、室温、その他の条件に応じてインキの硬さを調節する場合は、次の表を参考にインキを軟らかくする助剤を用いるとよいでしょう。

助剤名称 特徴/用途 添加量
00ワニス インキの粘り(タック)が下がり、流動性大 5%以下
コンパウンド タックは下がるがフローはあまり変化なし 5%以下
レジューサー 00ワニスよりタックフローの変化大 5%以下

17. オフセットUVインキについて

▼はじめに・・・

UV(紫外線)ランプを照射して硬化乾燥させるUV印刷インキが実用化されて約20年余り経過しますが、従来の油性印刷インキと比較して瞬間乾燥、低温高速の生産性、省エネ、省スペース、無溶剤、無公害、低臭性などのUVシステムの特徴・利点が高く評価され、今日、広範囲な用途に使用され始めています。

UVインキによる印刷が本格的に研究されたのは1969年代後半にアメリカのサンケミカル社より今日のUVインキシステムの基本となる方法が提案されました。この方法は、それまでの乾性油を主原料としたものとは異なり、多官能アクリレートモノマーを主原料とする方法であり、1969年に金属印刷の分野で実用化が図られました。

1970年代前半に日本では大日本インキ化学工業梶A東洋インキ製造梶A概&K TOKAが開発・検討し、実績を上げ、実用化がなされました。

金属印刷で実用化されたUVインキは現在では、オフセット、凸版印刷(ロータリー)、シール印刷、フォーム印刷、シルクスクリーン印刷など幅広い分野で実用化されています。

▼UVインキの組成について

UVインキは、一般インキと乾燥原理が異なるため、使用する原材料もまったく異なっています。UVインキと一般インキの使用原材料の比較を下表に示します。


UVインキ 油性(一般)インキ
着色成分 顔料 顔料
硬化成分 (モノマー)アクリル酸オリゴマー
アクリル酸エステル
(プレポリで)ウレタン樹脂
ポリエステル樹脂
樹脂、エポキシ   ほか
ロンジフェノール樹脂
乾性油(亜麻仁油、桐油)
揮発成分 原則として使用しない 溶剤
触媒 光重合開始剤
増感剤
ドライヤー
補助剤 熱重合禁止剤
ワックス(ポリエチレンワックス)
乾燥抑止剤
ワックス   ほか

▼乾燥(硬化)機構

@油性インキ(枚葉インキ):空気中の酸素による酸化重合
AUVインキ:紫外線による重合

枚葉インキ(油性)は、空気中の酸素によって乾性油(亜麻仁油)が酸化重合してインキ皮膜を形成します。したがって、空気が十分に行き渡らないと乾燥せず、俗に言う「風入」を行うのはこのためです。

UVインキは、UVランプから受けた紫外線のエネルギー(量)によってはじめに光重合開始剤と増感剤が活性化され、これでアクリル酸オリゴマープレポリマーが架橋反応(網目状に分子が連結することを言います)を起こし、皮膜を形成させます。

以上のように、乾燥(硬化)原理がインキタイプによって異なり、それぞれのインキは硬化するために必要な条件を整えないと十分な性能が得られません。

UVインキは、先にも述べましたように紫外線のエネルギーで硬化しますので、インキに対して十分なエネルギーを与える必要があります。一般的にインキの色では「黄」「紅」は紫外線を透過しやすいのですが、「藍」「墨」、とくに「墨」は紫外線を透過しにくくなっています。 このことから、印刷効果を高めるために濃度を高く印刷したい場合は常に「硬化不良」の危険、すなわちインキの擦れ落ち、接着(密着)不良、極端なときは裏付きなどの事故発生と隣り合わせであると言えます。

したがって、UV印刷ではとくに墨インキの濃度のコントロールが事故防止の重要なポイントと言えます。

▼UV印刷物の安全性について

UVインキは組成についてでも述べましたようにアクリル酸オリゴマープレポリマー、光重合開始剤、さらに増感剤などを主成分としており、これらが紫外線のエネルギーによって化学反応を起こし、硬化皮膜を形成します。

多くの化学反応と同様にUVインキの硬化も100%反応させることは難しく、とくに紫外線の照射時間が短く(近年、印刷速度がますます速くなっている)、また、印刷物の温度上昇を嫌う印刷ではその傾向が強くなります。

とくに硬化触媒である光重合開始剤、増感剤は架橋反応の中に組み込まれにくく、また、アクリル酸オリゴマープレポリマーもある程度反応が進むと反応が進行しにくくなります。したがって、UV印刷においては硬化したインキ皮膜中に未反応物が微量ではありますが残留することになります。

このことから、UV印刷物の食品用途、あるいは医薬品用途への展開にはとくに注意が必要です。残留未反応物が内容物に移行する可能性を低減するため、印刷面が直接内容物に接触するような容器形態のデザインを避けること。また、間接的にインキの成分が内容物に移行することを避ける印刷構成を十分考慮すること。 具体的には、紙・ポリエチレン・ポリプロピレンなどのプラスチック類は残留未反応物を吸着、あるいは透過することが知られています。

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