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4.2.2 品質マニュアル
組織は、次の事項を含む品質マニュアルを作成し、維持すること。
a) 品質マネジメントシステムの適用範囲。除外がある場合には、その詳細と正当とする理由。
b) 品質マネジメントシステムについて確立された“文書化された手順”またはそれらを参照できる情報
c) 品質マネジメントシステムのプロセス間の相互関係に関する記述
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1. 品質マニュアルとは!?
品質マニュアルとは、“組織の品質マネジメントシステムを規定する文書”であり、この条項では品質マニュアルを作成・維持すること、および含めなければならない事項を定めています。
a)では、「1.2 適用」で定めた品質マネジメントシステムの適用範囲、および適用除外がある場合にはその範囲と正当な理由を品質マニュアル内に明記するよう求めています。
「1.2 適用」によれば、適用除外が認められるのは「7. 製品実現」に規定する要求事項のいずれかに限定すると定められているので、それ以外の項目を除外することはできません。
また、「7. 製品実現」のいずれかであっても、それを除外することによって組織の能力・責任に何らかの(悪い)影響があり得る場合には除外は認められません。
b)では、規格が要求している“文書化された手順”またはそれらを参照できる情報を品質マニュアルに含めるよう求めています。“文書化された手順”とは、
・ 文書管理(4.2.3)
・ 記録の管理(4.2.4)
・ 内部監査(8.2.2)
・ 不適合製品の管理(8.3)
・ 是正処置(8.5.2)
・ 予防処置(8.5.3)
の6つであり、これらに関する手順そのものを品質マニュアルの中に記述してもよいですし、別冊の手順書を作成して、品質マニュアルにはそのナビゲーション情報を記述するだけでも構いません。
c)では、品質マネジメントシステムのプロセス間の相互関係に関する記述を含めるよう求めており、これは「4.1 一般要求事項」a)およびb)の内容が該当します。具体的には、
・ 組織図
・ 職務権限
・ 規格要求事項と部門とのマトリックス
・ 品質マネジメントシステム体系図
などが当てはまり、これらは品質マニュアルの一部をなすということになります。
94年版では、品質マニュアルは規格要求事項をカバーするように作成することが求められていましたが、2000年版ではこの要求は削除されました。しかしながら、組織の品質マネジメントシステム全体を規定する文書であること、審査(とくに実行審査)の際に品質マネジメントシステム運用状況のチェックリスト的な役割を果たすことを考えると、ナビゲーション機能だけではよくないと思われます(審査では不適合の対象になりかねません)。
品質マニュアルの章立ては、必ずしもISO 9001規格の章立てに合わせる必要はなく、組織が使いやすいように独自に編集して構いません。とくに統合化マニュアルを作成する場合には、必然的にそうなってしまいます。
また、これはよく言われることですが、中小規模の組織ならば必要とする手順も含めてすべて品質マニュアルに記述してしまい、文書量を減らすことも可能です。
2. 不適合・改善要望事例
★ヤッスー部長より一言★
品質マニュアルというとどうしても文章表現ばかりになってしまい、文字だらけで読みづらい、目にするのもイヤな作りになってしまうことがしばしば(当方が公開している品質マニュアルもその類)です。
しかし、文章表現だけがマニュアルではありません。図表、絵・イラスト、写真のほうがより強い説得力を持ち、イメージで実感を沸かせる効果を持つことがあります。品質マニュアルにも可能な限りこれらをうまく活用して、目にも訴えかけるような品質マニュアル作りを心がけたいものです。
配色にもひと工夫するとより効果的かもしれません。
品質マニュアルは関係者を巻き込んで作り上げましょう。決して、ISO事務局だけで作ってはいけません。机上の空論、現実とかけ離れた内容になってしまう危険性があります。「全員参加!」ぐらいの意気込みで品質マニュアル作成に取り組みたいものです。
<格言> ⇒格言募集中!
・ 堅苦しいマニュアルだけがマニュアルじゃない!
・ みんなで作ろう品質マニュアル
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