ISO推進事務局の力強い味方!? こちらISO事務局

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◆ Q & A

Question−『環境影響評価の定量化』
著しい環境側面を特定する際に、環境影響の程度を定量的に捉えるため、影響度を点数化するのが一般的になっています。点数化することが環境影響評価として必要なのでしょうか。この点数化をすることの意義は何でしょうか。また、製品、サービスの環境影響評価は、活動の環境影響評価より困難であると思います。活動と同じ環境影響評価をするべきでしょうか・こうした活動、製品、サービスの環境影響評価の考え方、また具体的にどんな手法があるか紹介してください。
Answer−
環境影響評価は、環境側面を抽出した後、著しい環境側面を特定するための手順として位置付けられます。ISO 14001は、この著しい環境側面を重点管理することを求めていますので、特定する手順も非常に重要な要求となっています。
さて、規格では特定する手順について具体的な要求はされていません。言い方を変えれば、どういう手順を経ても組織にとって適切な著しい環境側面が特定されていればよいはずです。ただし、この手順自体が手順として有効性のあるものかどうかを問われます。手順として確立したものであるならば、評価者が変わっても一定の結果が出るはずと考えられます。ここで個人の考えによらずに、一定の基準に基づき評価点を付ける方法が一般的になってきたわけです。
また、点数によらずに基準の適用(例:法規など)により評価を行う考えも一方であります。さて、ここで難しいのが基準作りです。環境側面は組織により異なるため、それを評価する基準も異なるはずです。また、評価も定性的な評価だけではなく、可能な限り定量的に行うほうが望ましいでしょう。こうした理由により、世の中に様々な環境影響評価方法があり、一定の確立した方法がないということになるわけです。逆に一定の方法がなく、様々な方法での評価が可能であることがISO 14001のよさであるとも考えられます。
ここでは、「環境影響評価研究会」において考えた環境影響評価方法について紹介します。
環境影響評価の基本的な式は、以下の2つに集約されるのではないかと考えます。

1) リスク評価:定常、非定常の環境側面の管理状態、影響状態、緊急時は潜在的なリスクを評価する方法
・ インプット:管理状態×影響の重大性
・ アウトプット(定常時・非定常時):管理状態×影響の重大性
・ アウトプット(緊急時):(発生の可能性+発見の可能性)×影響の重大性

2) 重大性認識:環境側面に以下の項目が適用されるかを評価する方法
環境方針、緊急事態の発生、利害関係者の要望、法規の適用または違反、社会的・経営的な情勢など

この評価では、定常時・非定常時と緊急時の評価式を変えています。よく利用されている(発生の可能性+発見の可能性)×影響の重大性の式は、緊急時の環境側面を評価する方法としてはよいですが、定常時・非定常時ではしっくりこないと考えています。この1)、2)の式の組合せにより組織にとって最適な環境影響評価を行います。1)のみ、2)のみ、1)+2)の合計、1)で漏れたものを2)で評価するなどが考えられます。例えば、活動は1)+2)の合計点数評価、製品およびサービスは、2)を利用した方式などがあります。 質問にもありますように、製品、サービスは活動とは別の評価になる場合が多いでしょう。
また、個々の評価項目についてはここで紹介しきれませんが、例えば「管理状態」ならば手順の有無、「影響の重大性」ならば量、有害性は外すことができない重要な評価項目と考えられます。最近は、審査の場面でも使用量、排出量など、定量化を問うことが多くなっているようです。


Question−『マルチサイトへの対応』
我々の組織には複数の事業所があります。これまでのところ、事業所間で準備状況に格差があったため、準備の完了した事業所から順次認証の取得を行ってきました。最終段階に達しましたので、この辺で全事業所の認証を統合して一本化したいと考えます。一本化することにより、登録維持の手間が省略されるなどが考えられますが、そのメリットおよび統合のための審査上のポイントなどについて教えてください。
Answer−
まず、規格の適用対象について考えてみましょう。規格は適用対象となる組織について次のように定義しています。“法人か否か、公的か私的かを問わず、独立の機能および管理体制をもつ、企業、会社・・・”。したがって、工場単位であろうと、工場の一部であろうとあるいは10工場まとめてであろうと、それが海外に点在しようと対象となり得るわけです。この点はヨーロッパ地域の法律であるEMAS(エコマネジメントアンドオーディットスキーム)と異なるところで、ISO 14001がシステム規格だから可能になることです。
システムの統合化には種々のメリットが考えられます。まず、第一は全組織が1つの方針の達成に向かって一丸となって進むことができるということです。共通の目的・目標に向かって組織が1つになるということですから、種々の意味で統一がとれることになります。
第二は運用のレベルが統一されるということです。全社的に運用の基準がそろってきますから、同じ種類の運用活動については共通の環境パフォーマンスが期待できます。したがって、外部から見たイメージは極めてよくなるはずです。
第三は体制あるいはシステム運用の簡素化を図ることができるということです。この点はいくつかの企業が合併してでき上がっている組織などについてはとくに有効になると思います。
第四は費用効果の点です。単独の事業所で登録を維持しようとすれば、初回審査の費用はもちろんのこと、維持審査の費用もそれぞれの件数分だけ必要になるわけです。もちろん、サイト数が増えればその分だけ審査の時間も増えるわけですが、1事業所当たりの審査に要する時間の比率はずっと下がってきます。
以上のようにメリットは種々考えられますが、大規模なあるいは業種的に多岐にわたるような組織が環境という切り口を通じて、管理・運用の一本化が可能という点でしょうか。
一方、統合システムとして登録を果たすためには審査上必要な条件がいくつかあります。環境という観点に限定されるとは言え、独立した機能、管理体制が求められるということは具体的にはどういうことになるのでしょうか。まず、第一は方針です。このシステムは方針の達成のみを要求しているわけですから、1つの環境方針を全事業所が達成の目標とすることが必要です。第二として、共通の管理体制ということですから、基本となる管理規程、すなわちマニュアルのようなものは共通にする必要があります。第三は全組織を通じて共通の監査システムが必要ということです。 多くの場合、マネジメントシステム監査は2段階に設定されることになるでしょう。すなわち、全社レベルのコーポレート監査と事業所単独で行われる内部監査ということです。適合性認定協会のガイドラインには、この3点について、“中央で管理され・・・”と書かれています。
最近の統合システム登録審査の事例としては、ご存知のIBMがあります。これは全世界のIBM事業所を統合したものですし、国内ではNECが7事業所を統合した例やNTNが11事業所を統合した例がその代表です。統合の進め方には個々の事業所ごとの登録を果たした後に、全事業所を1つのシステムにする例もありますし、中核となる事業所の認証を順次他の事業所に拡大していく方法などがあります。


Question−『中小企業のISO 14001組織』
当社は自動車部品の製造業を営んでいます。取引先がISO 14001の取得をしたこともあり、環境マネジメントシステムの導入を検討しています。しかし、当社は従業員が十数名と少ないため、ISO 14001の規格に定められている体制を作るに当たって、次のような問題が生じました。これらのことは規格の要求に対し適正でしょうか。
・ 最高経営層が環境管理責任者を兼ねることにしたい。
・ もしくは、環境管理責任者が内部監査リーダーを兼ねることにしたい。
・ 能力などを考慮すると、内部監査員候補が少なく、どうしても自部門監査になってしまう。
Answer−
小さな組織の場合、環境マネジメントシステム上の各役割を兼務せざるを得ない情況となる例が多く見受けられます。しかし、「環境マネジメントシステムはあらゆる種類・規模の組織に適用できる」と規格が明言している以上、どんなに小人数の組織であってもISO 14001の規格に適合することは可能です。ただし、各役割を兼務とする場合には注意が必要です。
ここでは質問を例に注意すべき点を挙げておきます。
最高経営層が環境管理責任者となる(最高経営層が自らを環境管理責任者に指名する)ことは理論上は可能です。ただし、規格で要求されている最高経営層と環境管理責任者のそれぞれの役割、責任、権限をすべて充足する場合に限られます。これらを満たしていることを、審査機関に対して証明しなければなりません。審査登録機関によっては、否定する可能性があるため、事前に確認する必要があるでしょう。「可能のはずだが、解釈が異なる可能性もある」と言えるでしょう。
環境管理責任者が内部監査員となるケースですが、内部監査の目的は、環境マネジメントシステムが、・計画した取決めおよび規格の要求事項に適合しているか、・適切に実施および維持されているか、を客観的に監査することです。この監査の目的からすると、環境マネジメントシステムの直接の総責任者である環境管理責任者および総括下にある事務局は、あくまでも監査を「受ける」立場であると解釈できます。よって、環境管理責任者の内部監査リーダーとしての任命はしないほうが無難でしょう。
内部監査において、監査員が自分の所属する部門の監査をしないのは、監査の客観性を確保するために、独立性を維持していることを証明するためです。したがって、自部門監査とならざるを得ない場合は、監査の客観性、独立性を別の方法で証明する必要があります。具体的には、誓約書による宣言などが考えられますが、それよりも監査チェックリスト、指摘記述書、監査報告書などの記録により、客観的かつ的確な監査が実際に行われたことを示す必要があるでしょう。また、外部からコンサルタントなどを監査員として任命することも検討すべきでしょう。


Question−『登録審査とサーベイランス審査の違い』
当社は、JIS Q 14001の登録審査を終えて10か月経ちます。2か月後に初回のサーベイランス審査を迎えるに当たり、それまでに内部監査、経営層による見直しを終える予定です。これまで、登録審査の所見をもとにシステムの運用を実施してきましたが、サーベイランス審査では、どのような点を重点的に審査されるのか不明で、環境管理事務局の仕事を担当する者として不安です。登録審査に比べ、サーベイランス審査は、どのような点が審査のポイントになるのか、またどのような点に注意をしたらよいのか教えてください。
Answer−
登録審査の目的は、構築し運用されている環境マネジメントシステムが、JIS Q 14001規格に合致しているか、また、計画された取決めに従って運用されていることを確認するものです。
これに対し、サーベイランス審査の目的は、環境マネジメントシステムが有効性を持っているか確認するものです。環境方針、環境目的・目標を実現するために、システムの継続的改善が適切になされているか、環境パフォーマンスを中心に確認されます。以下に代表的な確認事項を挙げますので参考にしてください。

・サーベイランス審査は、登録審査と同様、登録範囲の確認、審査基準、審査スケジュール、審査の焦点、審査メンバーの紹介から始まります。
・環境マネジメントシステム文書、登録範囲の変更点の確認があります。登録範囲の拡大あるいは縮小がある場合には、あらかじめ審査機関に連絡しておきます。
・登録範囲を拡大している場合は、拡大先のシステムの運用開始時期、拡大先のシステム文書、拡大先の法規制などの扱い、拡大したシステムが適用される従業員数が確認されます。
・環境方針および環境マネジメントシステム要素の変更点が確認されます。
・認定機関、審査登録機関のロゴがどのように使用されているか確認されます。
・外部コミュニケーションの実績が確認されます。とくにクレームや要望の受付実績が確認されます。
・上記の他、次の事項が確認されます。
1) 著しい環境側面の変更点
2) 適用される法規制の変更点
3) 環境目的・目標の1年目の実績と2年目の変更点
4) 教育・訓練の昨年の実績と今年の計画
5) 内外コミュニケーションの実績
6) 文書管理の記録
7) 著しい環境側面に関する活動の運用管理記録
8) 著しい環境側面に関するパフォーマンス記録
9) 順法性の評価結果を含む監視の記録
10) 不適合の発生と是正・予防処置の記録
11) 内部監査に関する記録と監査の有効性を確認する記録システム、パフォーマンスに関し、改善点の指摘と改善提案が適切になされているか確認されます。
12) 経営層による見直し結果とその周知および対応状況

このように、サーベイランス審査では、環境方針、環境目的・目標を達成するため、システムの継続的改善が適切になされ、監視機能、見直し機能が有効に働いていることが確認されます。


Question−『規格解釈のバラツキ』
認証取得済みの方からよく耳にすることですが、審査登録機関あるいは審査員によってISO規格の解釈にバラツキがあると言われます。審査員の解釈が異なるようなものであれば、システムを構築する者にとって解釈に相違が出るのは当たり前だと思います。解釈の異なる受審者と審査員がぶつかったときにはどのような対応をとればよいのでしょうか。
Answer−
大変複雑な問題です。一言で申し上げると、規格の要求には幅がありますので、解釈にも幅があって当然です。この幅の中でシステムが構築され、運用されていればよいということですが、問題は審査の場でこの幅を限定するようなことが起こったときです。
まず、ISOの委員会で規格の要求事項を策定するに当たっては、“客観的に評価できることのみ”という原則で臨んでいます。規格の文中には、“・・・に適切であること”などのように判定に際して主観が入り込む余地を残す表現もあります。この辺りは後から申し上げますがその審査所見指摘が“不適合”か“改善”であるかを明らかにすることによって片付く場合が多いでしょう。
システムの基本にかかわる事項の解釈についての議論に備えて、ISOの委員会では次のような措置を講じています。当初、ISO委員会の中に規格の解釈委員会を設置しようという考えもありましたが、これは現実的ではないということで、このような委員会は加盟各国の規格母体に任されることになりました。国内では規格審議委員会の下部機構として、そのような委員会が設けられています。解釈上の問題が生じた場合にはこのメカニズムを活用することです。
ただし、このレベルの問題はまれなケースであって、多くの場合が解釈の幅をめぐっての問題とか環境パフォーマンスレベルの評価をめぐっての議論が多いと思います。また、解釈には定義が絡むことがよくあります。規格の定義を外れては議論になりませんので、この点にも注意が肝要です。実際の審査機関でも個々の条文解釈をめぐる統一見解を用意しているところはないと思います。このようなことをすると逆に規格の意図を阻害することになりますし、場合によっては新たな要求を追加する可能性があるからです。
実際の審査の場、とくにクロージングミーティングの場で、このようなことが起こった場合にはどうすればよいでしょうか。次の3点を実施してください。

1) 指摘区分の確認
指摘は一般に“重大な不適合”“不適合”“改善事項”と区分されています。まずその指摘が“不適合”か“改善事項”かを確認することです。後者には少なからず主観の入る余地がありますし、対応は受審者に任されるはずです。“不適合”には是正が必要ですが、その指摘には必ず根拠となる基準が必要となります。

2) 審査基準の確認
不適合の判定基準は規格の要求事項か、もしくはそれに基づいて設定されたシステム上の決め事(マニュアル、規定など)です。不適合判定の基準はあくまでも明瞭にすべきです。ぜひとも、確認する必要があります。

3) 基準と現実の相違の説明
上記基準に対して現実がどのように不一致なのか(不適合)を明瞭に説明できなければなりません。説明の過程に仮説や主観が入ってくるようでは正しい不適合の指摘とは言えません。

審査の所見に対して納得がいかない場合はこの3点を徹底的にクリアにしてください。ただし、最終判断の権限は審査リーダーにありますので、決着のつかない場合は、一歩引き下がって、審査機関への苦情の申し入れなり、訴訟の道を選ぶことになります。


Question−『マニュアルにある品質方針について』
マニュアルにある品質方針について質問します。
今回、品質方針の文章の表現方法が変わった場合、その意図する内容も同じであれば、マニュアルの改正は必要ないと考えておりますが、それでよろしいでしょうか。
当然、社内に掲示する品質方針とマニュアルで謳っている品質方針では若干違っていますが、次回のマニュアル改正が生じた時点で変更したいと考えていますが、これでよろしいでしょうか。
Answer−
品質方針は文書としての管理を要求されています。したがって、マニュアル中に品質方針が組み込まれている場合、マニュアルの一部を改訂することになります。品質方針をマニュアルとは別文書として管理する方法もあります。社内掲示するものと若干違うというのは原則として許されません。


Question−『「設計・開発」の範囲、定義』
当社は、卸売業(業種コード29)として認証取得しています。現在は、「設計・開発」を除外していますが、更新審査から「設計・開発」を含めたQMSを構築する予定です。
新商品を取扱う際、すべての商品を「設計・開発」にした場合、年間で300〜500件の記録作成になり、運用できないと思われます。
よって、一部の商品に限定(顧客の要望を仕入先と調整して仕様決定する商品、当社の名前でOEM商品を製造するものなど)し、「設計・開発」の定義を決めてよろしいのでしょうか。
また、卸売業として、どのように「設計・開発」を解釈すべきか、アドバイスをお願いいたします。
Answer−
商品開発に責任を持つ新商品に限定するのは問題ありません。
販売に関係する設計・開発としては、拡販のためのイベント企画や新商品売り込みの開拓企画などがあります。


Question−『記録のペーパーレス化』
当社は、ペーパーレス化に向かって推進してゆく準備をしておりますが、社内に残すべき、例えば「検査成績表(控)」「工程内の品質記録」「原料素材のミルシート」「電子メールによる注文書」など、電子記録として保存しようと考えていますが、他社はどのように解決されているのでしょうか。
Answer−
記録は、読みやすく、容易に識別可能で、検索可能であることが要求されています。記録の識別、保管、保護、検索、保管期間および廃棄などについて電子媒体の管理を定める必要があります。例えば、別の媒体に取り出してバックアップする処置が必要になることも考えられます。


Question−『ISO上必要な最低限の会議』
ISOの維持コストを削減(実際には間接費用の削減)するため、会議を効率よく少なくしたいと思っております。ISO上で最低限必要な会議、および時間の目安をアドバイスください。
Answer−
内部コミュニケーションの有効性向上のための交換情報の管理をしてはどうでしょうか。


Question−『協力会社への環境方針の配付』
協力会社への環境方針の配付において、配付時に相手から受領書を取り、記録文書として保管する必要がありますか。
Answer−
方針の配付記録は不要です。ただし、自らが定義した「組織のために働くすべての人」に該当する人あるいは組織単位では、方針を周知させるために配付記録を残しておくことをオススメします。
しかし、これらの人々を対象にした教育の中で方針を伝達しているなら、教育記録にそのことが記録されていれば十分でしょう。
一方、「一般の人々が入手可能である」ようにした方法で、貴社の方針を入手された方の記録は難しいでしょうし、記録に残す必要はありません。


Question−『審査登録後の継続的改善』
昨年ISO 14001を取得しましたが、取得後ホッとしたのか従業員のやる気が少し減ったような気がします。ISO 14001の理念からいうと継続的改善が重要と思っていますので、これから先行きが心配です。これからも環境マネジメントシステムを生かし、継続的改善を行うにはどうしたらよいでしょうか。また、最近環境に関する情報公開が言われ、環境報告書を作成する企業が増えているようですが、これはどういう意義があるのでしょうか。ISO 14001との関係を含めて教えてください。
Answer−
継続的な改善は、数値目標に限るものではありませんが、継続的に努力を重ねることは難しいものです。
さて、問題は「従業員のやる気」。どうやって社員のやる気を引き出せばよいでしょうか。この答えは1つではありませんが、例えば、環境対策を充実させることを人の評価や名誉につなげるのも方法でしょう。
ISO 14001を導入した会社は、日々、環境目標達成の活動を行うとともに、監視測定をしたり手順に従って、業務を推進していることと思います。しかし、この様々な活動は、社内で評価されているのでしょうか。「ISO 14001の審査登録証を手にすること」が業績評価のすべてであれば、その後の活動は、社内的には“余分な仕事”との烙印を押されてしまいます。
つまり、環境活動が人事考課や業績評価の対象となっているか否かが重要になります。
ISO 14001は、既存のマネジメントシステムとの整合性を謳っておりますが、導入時は、ISO 14001に基づく環境マネジメントシステムの構築に手一杯で、既存のマネジメントシステムとの整合性は、二の次になっているケースが多いようです。できればシステム構築段階で、環境活動を職務分掌に入れ、業績評価や人事考課の対象となるようにすべきでしょう。 環境活動に費やす時間を会社が認知していることが大切です。また、環境保全や汚染の予防は、企業市民としての責務です。したがって、環境と経営を調和させ、適確に実施していることを公表することは、財務諸表の公開により企業経営の健全性を示す以上に重要なことでもあります。次に示すような観点で環境活動にかかわる情報公開を、積極的に実施すべきでしょう。
・ 環境情報公開指標を持つこと(EPE:14031、ラベル:14024など)
・ 環境情報公開基準指標に基づき環境パフォーマンスの情報公開を行うこと
・ 環境報告書を発行すること
日本では、環境報告書により情報公開している企業は上場企業の11.0%、非上場企業の5.0%に過ぎませんが、一昨年の調査では前年対比で2.8ポイント増加しており、今後の広がりが期待されています。


Question−『移行審査の際の内部監査/内部監査員について』
当社は2005年7月にISO 14001の更新審査を迎えますが、同時に改訂2004年版による移行審査も受審したいと考えております。その際の内部監査においては、改訂2004年版に対応した研修を修了している内部監査員による監査を終了していなければならないのでしょうか。
Answer−
更新審査を受審するときに、合わせてISO 14001:2004への移行審査を受審されるということですが、その場合、内部監査はISO 14001:2004を踏まえて監査する必要があります。また、内部監査に際して、すでに社内基準で内部監査員の資格を持っておられる監査員に対しては、ISO 14001:2004で変更のあった条項を追加教育していただければ結構かと思います。


Question−『会社組織と職務分掌が変更された場合のマニュアル改訂について』
品質マニュアルに会社組織名称と職務分掌およびプロセス間の関係を記載しておりますが、組織改訂が頻繁にあり、その都度、マニュアルを改訂発行せざるを得ない状況で苦慮しております。組織変更はどこの会社でも同じだと思いますが、何かよい方法はないのでしょうか。
4.2文書化に関する要求のb)に品質マニュアルがあり、4.2.2ではc)に「プロセス間の相互関係に関する記述」とあるため、マニュアル本文の中に記載することが絶対必要と解釈されますが、一方、4.2.2b)には「・・・又はそれらを参照できる情報」とある。
事務局の対策案としては品質マニュアルに組織名称、職務分掌、各組織間の関係を記載した文書番号を載せることとし、マニュアル本文中から分離した文書として、維持管理することを考えております。組織変更の都度、この文書のみ改訂することで、マニュアル全体を改訂発行する雑務から逃れられないかと考えております。これが可能でしょうか。他によい方法はありませんか。
Answer−
品質マニュアルに「品質マネジメントシステムのプロセス間の相互関係に関する記述」をするだけであれば組織名称、職務分掌がない記述の仕方はある、と思います。
プロセス間の相互関係に関して組織名称、職務分掌の記述が必要になるのは、規格要求事項である「組織は、これらのプロセスを、この規格の要求事項に従って運営管理すること」および「責任及び権限が定められ、組織全体に周知されていることを確実にすること」に対応する必要があるからです。もしこの部分が別に定める規定、規準などで明確にされていれば、品質マニュアルにはこれらの文書を引用記述することで対応は可能、と思います。
なお、組織名称、職務分掌の変更があってもプロセスの変更があるとは限りません。プロセスの変更があった場合は即マニュアルを改訂する必要があります。組織名称、職務分掌の変更だけであれば一定の期間読み替えなどで対応することも可能です。


Question−『ISO事務局のあり方について』
審査員から、ISO事務局がもっと会社のシステムを推進して、たとえば、各部門の目標の中身をチェックするなど、管理責任者の手足として動くべきだ、との助言をいただきました。
その際、こちら側としてはISO事務局はいずれはなくすべき部署だと意見を申しました。その意図は、審査の際にはムダだと思って述べませんでしたが、本来は、目標のチェックなどは各職制がやるべきものですし、ISO事務局が推進してやっと動くようなシステムならば必要のないシステムだと考えており、ISO事務局がなくても運用されるようなシステムを目指しているという意味で、なくすべき部署だと言いたかったのです。
ISO事務局が勢力的に動くのは大いに結構だとしても、各職制や管理責任者の存在意義に疑問符が出てきます。また、規格ではISO事務局が必須とは書かれていませんし、そのような機能を会社に置くか置かないかは組織の判断によるものだと考えます。
そのようなことを踏まえ、審査員がISO事務局の動きに関してどうこう言える立場であるのかどうか、非常に疑問に感じました(やると決めていることをやっていない部分に関しては、真摯に受けとめます)。
Answer−
事務局を置くか置かないかは、組織の判断で結構です。その判断基準は、管理責任者だけで、4.4.1で要求する「この規格に従って,EMSの要求事項が確立され、実施され、かつ維持されることを確実にすること。」「見直しのため及びEMSの改善の基礎として、最高経営層にEMSの実績を報告すること。」になります。
貴社の現在の仕組みは、この責任を果たす手段として自らの判断で事務局を設置しているものと思います。今後、上記役割を、事務局を設置すること以外の仕組み(環境管理責任者だけでも)で遂行して行くのであればそれで結構です。
「審査員がISO事務局の動きに関してどうこう言える立場であるのかどうか、非常に疑問」ということに関していえば、審査員は、事務局が上記管理責任者の責任の一部を果たす役割を担っていると判断して改善の余地を伝えたのです。


Question−『ISO 14001:2004 EMSの適用範囲について』
審査の中で、環境マネジメントシステムと他のマネジメントシステム(品質、労働安全衛生など)とのつながり、インターフェースについてもマニュアルに記述しなければならないとの話がありました。
この部分について、マニュアルの旧版には記述し、改訂した際にPCの操作ミスでこの部分が削除されてしまった当方の不手際ではあるのですが、あとで考えてみると、本当にこの記述が適用範囲として必要なのかどうか疑問に思ってきました。
私自身、2004年版規格をよく読んでいないこともあり、あまり強くは言えないのですが、システムの統合化がどんどん進んでいく中で、これはEMSですよ、あれはQMSですよ、といったことは意味がないことであり、システム間のつながり(垣根)は取り払うべきだし、あえてマニュアルに記述するべきものでもないと考えています。
Answer−
「インターフェースについてもマニュアルに記述して下さい。」というのは、ISO14001:1996「1.適用範囲」に「この規格のどのような適用の範囲も明瞭に特定されていなければならない」とされているからです。なお、ISO14001:2004では、「4.環境マネジメントシステム要求事項 4.1一般要求事項」の中で「組織は、その環境マネジメントシステムの適用範囲を定め、文書化すること」とされ、よりインターフェースについてマニュアルに記述することを明確に求められています。
次にこの要求の意図は、まさに「これはEMSですよ、あれはQMSですよ、といったことは意味がない」ので無駄を省けというところにあります。 ISO14001:1996の序文には「組織は、環境マネジメントシステムの基礎として、JIS Z 9900シリーズの合致する既存のマネジメントシステムを使用しても差し支えない。」とあり、2004版でも同様の主旨で「この規格には、品質、労働安全衛生、財務、リスクなどのマネジメントのような他のマネジメントシステムに固有な要求事項は含んでいないが、その要素は他のマネジメントシステムの要素に合わせたり、統合したりできる。組織がこの規格の要求事項に適合した環境マネジメントシステムを構築するに当って、既存のマネジメントシステムの要素を適応させることも可能である。」とあります。 例えば、労働安全衛生もこのシステムに取り込むとか、別に扱うとか、文書管理、内部監査の手順はEMSのマニュアルには記載しないがQMSで゛扱うとかの関連の記述を求めているのです。各システムを統合してしまえばこれらの記述は不要となるでしょう。


Question−『ISO 14001 EMSの管理体系について』
弊社は4つの事業所(サイト)で14001認証取得しています。2003年度までは、事業所責任者(サイト責任者)を位置付けて、各事業所ではその責任者を頂点としてEMSを運用してきました。
しかし、2004年度からISOとは別の経営システムが導入され(QMS、EMSはその経営システムのツールとしての位置付け)、そのシステムによれば、事業所(サイト)単位での管理体系ではなく、縦系列の管理体系となっております
たとえば、本社、A事業所、B事業所の3つのサイトがあり、営業部隊が

本社:営業本部 / A事業所:A営業部 / B事業所:B営業部

と配置されているとしますと、2003年度までの管理体系では、営業本部の環境活動は本社責任者が管轄し、A営業部の環境活動はA事業所責任者が管轄するというように各事業所責任者が管轄していましたが、2004年度の体系になってからは、A事業所とB事業所の活動内容は営業本部で統括するというようになり、事実上、事業所責任者の位置付けがなくなってしまいました。
EMSに限っては事業所責任者を設けて事業所単位で環境活動を管理するという体系もできるのかもしれませんが、システムの統合化を経営者から指示されている中で、「環境だけはこのようにする」とすれば混乱の元になる可能性もあると懸念しており、管理体系をどうすればいいのか決めかねております。
そこで質問なのですが、EMSにおいてはサイトという考え方を重視しているようですが、管理体系に関してもサイト責任者を頂点とするサイト単位の管理が必須となっているのでしょうか?
ちなみに、管理責任者は全社を統括する1名だけ設置しています。
Answer−
規格4.4.1a)およびb)に要求される管理責任者の責任と権限が満足されるならば問題ありません。サイトにこだわらず、職務上のつながりでEMS組織を構成することはむしろ自然です。


Question−『ISO 14001 環境目的・目標の設定について』
1996年版のISO 14001用語の定義によりますと、

目的:
環境方針から生じる全般的な環境の到達点で、組織が自ら達成するように設定し、可能な場合には定量化されるもの。

目標:
環境目的から導かれ、その目的を達成するために目的に合わせて設定される詳細なパフォーマンスの要求事項で、実施可能な場合に定量化され、組織またはその一部に適用されるもの。

とありますが、ある参考書には、目的は3〜5年ぐらいの中長期的な到達点、目標は目的を達成するための単年度の到達点とするのが妥当という見解が記述されており、現在の弊社のEMSで模糊の考え方を採用しています。
しかし、昨今、経営環境が短期間で著しく変化する中で、3〜5年というスパンで目的を立ててもまったく見通しが立たず、年度またはそれよりも短い単位で方向性が激変してしまうため、目的およびその達成活動が維持できないというのが実情です。
そのような中で、
 目的:単年度の到達点
 目標:目的を達成するための月々の到達点・重点項目
とするのはどうかという話が社内で出てきました。
用語の定義においても、期間に関することはいっさい定められておりませんので、これが妥当であるならば、QMSの目標管理とも統合できますので採用したいと考えているのですが、この考え方は妥当でしょうか?
Answer−
貴社の考えでまったく問題ありません。規格は事業上、運用上の要求から目的・目標を設定し、見直すことを要求しています。この主旨から見てもむしろ好ましいことです。


Question−『ISO 14001:2004改訂への対応について』
弊社では2005年2月にISO 14001の定期審査があるのですが、96年版から04年版への移行の話も出ており、弊社でもその対応をしなければならないと考えております。 しかしながら、2月の審査までに04年版に移行するには人的・時間的余力がなく、また、QMSとの統合化もじっくりやりたいと考えているため、96年版で審査を受ける方向性です。 が、環境マニュアル(EMS)の中身に関しては部分的に04年版を取り入れていきたいとも考えております。そこで、部分的に04年版に対応した状態でも96年版の規格で審査してもらえるのかどうか教えてください。
Answer−
来年2月にISO 14001:1996規格で審査を受けることは問題ありません。また、そのときに環境マニュアルの内容が部分的に2004年版に基づく改訂になっていても、96年版の規格で審査していただけるかとのご質問ですが、可能です。 この場合、環境マニュアルには「このマニュアルはISO 14001:1996規格に基づくものである」旨を記載しておいてください。なお、蛇足ですが、2006年の審査においてはISO 14001:2004規格で受けていただくようお願い致します。


Question−『ISO 14001改訂「4.4.2 力量、教育・訓練及び認識」について』
7月に福岡で行われたISO 14001の規格改訂についての説明会の中で、「4.4.2 力量、教育・訓練及び認識」の改訂点にその他の処置が追加されていますが、たとえばどんなことがありますか。
Answer−
「力量を担保する処置として、内部要員を教育・訓練などで養成する以外に、内部要員に自己啓発を促すことや力量を有する外部要員を確保する」などが考えられます。


Question−『適用除外「プロセスの妥当性確認」の見直しについて』
「プロセスの妥当性確認」について適用除外としていますが、さる筋からの情報で、この「プロセスの妥当性確認」の項目自体が、近々、適用除外の対象から外されることになる、という話を聞きました。
その話は本当でしょうか。本当ならば、いつ、どのような形で公になるのでしょうか。そして、適用除外している組織はどのように対応すればよいのでしょうか。
Answer−
適用除外の考え方は、ISO/TC 176/SC2小委員会の公表文書(ISO/TC 176/SC2/N524R4)“ISO 9000 Introduction and Support Package module:Guidance on ISO 9001:2000Sub-clause1.2'Application'”のガイダンスで提示されていますが、現在のところ、とくに改訂の動きは出ていません。

【関連情報として】
三菱ふそう問題に限らず、システムの適用範囲の妥当性について見直す動きが出始めており、改めて次に示す適用除外の根拠となる3要素をレビューすることが必要になってくるかもしれません。
1) 顧客は誰なのか
2) 製品は何であるのか
3) 製品に関連する要求事項は何であるのか


Question−『建設業における7.5.2について』
建設業における「7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認」についてですが、日本規格協会で出した品質マネジメントシステム要求事項の手引きの中で、「『7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認』とは、プロセスのアウトプットが容易に、または商業ベースでは検証できない場合に追加管理措置を行う。」としています。 これについて、建設業の代表例としてコンクリートの打設プロセスが挙げられていますが、生コンの場合、事前にテストピースを作り、破壊試験を実施し、さらに打設後に非破壊試験で強度確認などができるにもかかわらず、プロセスの妥当性確認が必要なのはなぜでしょう。
ちなみに、ある審査員は、「検証ができないという解釈ではなく、品質保証の観点から追加措置を取ったほうが確実に品質確保できるプロセスと考えるべきである。」との意見を述べられる方もあるようですが、これでは拡大解釈しすぎで、建設業における製造プロセスはすべてこれに該当してしまい、7.5.1および8.2.4での管理は何になるのでしょうか。
Answer−
コンクリート工事のプロセスは、大まかに言って下記のとおりとなります。

コンクリート工事プロセスの概要

1. 今回の質問は、上記eのコンクリート打設プロセスは「7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認」が必要かどうか?についてだと思います。
2. コンクリート構造体は、生コンが型枠の中で、ある一定期間存置した結果、凝固し、設計どおりに形成されるべきものです。
3. この場合、生コンは型枠の中ですからどのように構造体を形成しているか、また、構造体の内部はどのようになっているかは、gで型枠を解体するまで確認できません。つまり、型枠を解体して初めて確認できるのです。
4. そこで、aおよびcの作業管理はもちろん大切ですが、eのコンクリート打設時の管理がさらに重要となります。
5. したがって、コンクリート打設には、その「作業手順」と使用する「作業設備」を明確にし、「作業員の訓練・知識」を身に付けて作業に当たらせ、そのプロセスの妥当性を検証する必要があると思います。

3.で型枠を解体した場合、どのような状態が予想されるかというと次のことが考えられ、構造体としては不適合製品になります。

イ. 構造体の表面にジャンカやひび割れができる(これは表面から内部に向かって生じる)。
ロ. 構造体の中に、骨材の分離によって空洞ができる(鉄筋とコンクリートが一体化しない)。
ハ. 鉄筋が移動し、設計どおりの配筋にならない。
ニ. 型枠の変形により構造体が変形する。

なお、質問にもあるように、生コンの強度確認のプロセスは事前に検証しているので、“プロセスの妥当性確認”の対象にはならないと思います。
また、ある審査員が解釈したという「品質保証の観点から追加措置を取ったほうが確実に品質確保できるプロセスであると考えるべきである」は、意味不明です。


Question−『内部監査員資格について』
ある会社で内部監査員資格について社内講師(外部で2日間監査員セミナー受講)で1日セミナーを開催して内部監査員として資格認定を与え内部監査員をさせていますが、あるコンサルタントは審査機関により、1日セミナーでの内部監査員が監査した実績は有効でなく2日間監査員セミナー受講者に再監査をさせたとの意見がありましたが、実際のところどうなのでしょうか?
Answer−
内部監査員の資格については特別な要求事項はありません。組織が決めた資格付与の条件に従って認められていれば、問題はありません。
要はきちんとした内部監査が実施され、アウトプットが的確であり、トップへの報告がされ、その結果、トップによるシステムの見直しに反映されていることが肝要と考えます。
したがって、組織で認定された内部監査員によって実施された監査は有効と判断します。


Question−『環境マネジメントプログラムの立て方』
紙や電気の節約、環境商品の販売等異なった計画を立案する場合、その計画ごとの違った組織を考えてよろしいのでしょうか(例えば紙・ゴミ・電気の目標は1フロアを1つの組織と考え、商品の販売は部課単位を1つの組織と考える)。
もしくは、マニュアルや登録証にある組織を基本としたものがよろしいのでしょうか。
Answer−
それぞれの計画(プロジェクト)ごとに、違った組織で活動することは当然あり得ます。その場合、それぞれの計画ごとに実施運用のための「機能組織図」を作成されることをお勧めいたします。例えば、商品販売については、御社のマニュアルにもあるような“部門環境管理責任者”単位の組織体で活動されるのであればそれが分かるような組織図を、また、紙・ゴミ・電気については、“フロア環境管理責任者”単位の活動をお考えであれば、それが分かるような組織図を作成されると、非常に分かりやすくなります。
そして、組織図に示された各セクションまたは管理者について、EMSを機能させるための役割・責任・権限を定めていただくことが必要です。上記の例に従えば、部門環境管理責任者およびフロア環境管理責任者をそれぞれ誰にするのか、事前に決めて、それぞれの管理者ごとの役割・責任・権限を明確にされることが必要です。


Question−『ISMS認証取得の意義に関して』
ISO 9001とISO 14001の運営維持に入った段階で、経営者から「当社としてISMS認証取得が必要かどうか判断するように」と言われ、情報を集めている最中ですが、判断しかねております。
QMS、EMSを構築したもののなかなか機能せず、統合化・軽装化によって浸透させ機能させようとISO事務局では考えていたところに、ISMS認証取得の検討を要求され、機能不全のところでさらに仕組みの構築をすれば、ますます形骸化が進むのではと懸念しています。
ISMS自体、最近できたシステム・認証取得制度のようで、印刷関係会社では顧客からの印刷データの管理も必須ですし、その管理体系を構築・運営することは顧客に安心を与える1つであるとは考えておりますが、そのためにISMSという新たな枠組みを設ける必要があるのかどうか、それともQMSの顧客支給品の管理を強化することで対応できるのか、その辺りも認証取得企業の状況、考え方を踏まえて、ご示唆いただければと思います。
Answer−
@「機能不全のQMSとEMSシステムにISMSを追加すれば、ますます形骸化が進むと懸念しています」との質問
実際に運用される現場で混乱が発生するのは好ましくありません。また、導入したQMSおよびEMSが機能していない現状の改善を優先させようとの考えは理解します。計画的に進められるのが良いと思います。
その計画に当たり、ISMSの状況を知っていただいた上で、計画を立案される方がより有効と考えますので、以下にISMSの状況を紹介いたします。ISMSは会社で扱う全情報資産、すなわち個人情報、顧客情報、自社情報等の保護をマネジメントシステムとして推進するものであり、ISOのQMSおよびEMSと同じ構造の仕組みとなっていて、その点で将来は1つのマネジメントシステムで運用するのが可能です。とくに来年4月からは個人情報保護法が施行され、5,000人以上の個人情報を取扱う事業者がこの法令の対象となります。 この対象事業者は自社の管理義務だけでなく、情報処理を外部委託する場合の外注業者の管理義務も要求されています。このように情報資産のセキュリティは顧客の信用のためにだけでなく、盗難等の不測の事態の告訴に対する法的防御のためにも必要なものになってきました。個人情報保護法は個人の権利を優先していますから、個人が不利益を生む情報漏洩では、個人情報取扱い事業者は被害者でなく、個人に対する加害者として処罰されます。

A「QMSの顧客所有物の管理の強化でISMSをカバーできないか」との質問
顧客から支給される情報資産の管理をQMSの中で強化する考えはセキュリティの第一歩としては有効です。しかし、QMSでは顧客支給品の保管管理の強化が限界ですが、顧客はこれでは満足しません。顧客要求に沿った製品をミスなく提供するQMSの視点と人の故意による犯罪をも念頭に置いたISMSの視点とはセキュリティの点で違います。顧客情報の確実な保管管理に加えて、顧客情報へ接近できる人の管理およびセキュリティ条項が入った契約の確保、セキュリティ教育の徹底、部屋などの物理的な入退出管理とその許認可の仕組み、製品だけでなく不適合品の盗難に関する確実な管理、装置データへのアクセス管理、LANや外部インターフェイスの管理、災害時の復旧管理等の会社体制の確立、これら情報資産の安全管理をリスク評価のマネジメントとして運用していく仕組みが要求されているのです。
先日、住基情報の処理を業者へ委託するに当たり、セキュリティ条項の契約がないとして問題になりました。今度は、住民からの提訴で処罰となりますし、外注業者も仕組みで防御し、安全であることを証明することが必要になってきます。


Question−『測定機器の校正と記録について』
計測器(測定値の正当性を保証する測定機器)の校正を、社外の校正業者に委託していますが、この際、校正に関する書類として下記の書類を購入し、保管しています。
「校正成績書」:校正に関する記録として、校正時のデータ・数値の入った書類
「校正証明書」:校正に使用した標準器の国家標準とのトレースなどを示した書類
「トレーサビリティ体系図」:計測器が国家(公的)標準とどのように関連があるかを体系的、系統的に図で表した書類
以下の理由から、校正に関する書類は「校正成績書」のみとし、「校正証明書」「トレーサビリティ体系図」は購入しないようにしようと考えています。
・ 当該書類(証明書・体系図)にかかる経済的負担が大きい。
・ 当該書類を顧客から要求されることはほとんどない。
・ 当該書類が必要となった場合でも、「校正成績書」に記載されている標準器bゥら書類の提出を校正業者に対して要求できる。
上記に関して、ISO 9001:2000への適合の上で、問題ありますでしょうか?
Answer−
質問によりますと、校正記録として「校正成績書」のみとし、従来保管していた「校正証明書」「トレーサビリティ体系図」は廃止したいとのことですが、「校正成績書」に当該計測器の校正結果及びその校正に使用した標準器の番号が明記されており、この番号から標準器が国際または国家計量標準にトレース可能なものであることを証明可能であれば、規格の要求事項に対して適合すると判断します。
質問内容から、校正をアウトソーシングしている場合としていますので、アウトソーシングの管理を確実にするために必要な要求事項はアウトソーシング先へ伝達し、必要に応じて実施状況のチェックなどを行い、校正が適切に実施され記録されていることを確実にしてください。具体的にはここで取り上げている「校正証明書」及び「トレーサビリティ体系図」なども対象となります。


Question−『環境目的・目標「電力削減」の原単位について』
現在、環境マネジメントプログラムを作成している段階です。工場の目的・目標で電力量の削減を挙げ、各階層で展開しようとしています。職場によっては有力な節電手段がなく、昼休みの照明を消灯することをメインとして掲げた場合、毎日の消灯時間、点灯時間等の記録を取るべきなのでしょうか。スイッチの横に節電、責任者名のステッカーを貼る程度ではダメでしょうか。削減効果を原単位で説明することが難しい状況です(有効な原単位が見つからない)。そのため、掲げた手段は間違いなく実施したことを説明するためにも記録は必要と思うのですが、一般的に他社はどうやっているのか教えてください。
Answer−
電力量の削減の目標をどのように決めるかによって、行なうべき手順が変わります。すなわち、
@ ○○%削減する ⇒ 電気消費量をパラメータとして点検・監視する
A 使用時間を制限する ⇒ 消灯時間を決め運用する
有効な原単位が見つからないというのは、目標に無理があるのかもしれません。または、もっと大まかな管理が適切だということではないでしょうか。その目標は価値のあることなら、部署ごとに電気メーターを付けることも考えられます。


Question−『適用範囲と環境側面の特定範囲について』
当工場のEMSの受審範囲は工場敷地内を予定しています。当工場の仕事に貴金属回収物のリサイクルがあり、得意先へ出向いて、メッキ廃液タンク(シアン含有)から回収液を抜き取りドラム缶へ移し替え、当工場まで運搬するという作業があります。環境影響として、緊急時(作業員のミス、交通事故)に水質汚染、土壌汚染が考えられますが、影響評価の結果次第では著しい環境側面として登録すべきでしょうか。受審範囲外なので、得意先の指示に従うとして、ISO 14001からは最初から外すべきでしょうか。
Answer−
環境側面としてEMSに含むべきと考えます。理由は以下のとおりです。
@ 「管理でき、影響を及ぼせる」範囲に入る活動と言える。除外する理由が見当たらない。
A 運搬は組織自身が行なっている。
B シアン含有である。
C 可能性としては低くても、事故が起こったときの環境影響は甚大である。
D ISO 14001「4.4.7」は事故の可能性を特定し、対応することを要求している。


Question−『有価物(貴金属)の環境影響要素について』
ISO 14001の環境側面の調査について教えてください。当社では得意先より貴金属回収物を預かり、貴金属の回収精製を行なっています。回収工程では残渣(微量の貴金属が含有)が発生し、当社はその残渣を有価物として大手鉱山会社へ回収を依頼し、回収された貴金属のみ返却してもらいます。この場合、アウトプットの場面で有価売却に該当する環境要素については、どのように扱えばよいのでしょうか。
Answer−
残渣を社外に委託し処理するということは、廃棄物を排出することと同一と考えられます。ゆえに、側面としては「廃棄物の発生」ということだと思います。ただし、そうだからと言ってこれを中止することは業務をしないことですから、組織の業務上の理由から受け入れられません。そこで、できる範囲の管理を行なうことがポイントになると思います。例えば、最終廃棄前に水分含有率を下げることを外部業者に要求することなどです。


Question−『環境影響の範囲をどこまで考慮すればよいか』
各工程の環境側面の実態調査を行なっています。インプットの場合ですが、購入した材料、薬品、電力を挙げたとすると、環境影響はどこまで挙げればよいのでしょうか。私は当工場の使用範囲に限定して考え、材料、薬品、電力の場合は「天然資源の枯渇」だと思うのですが。参考図書の中には、「天然資源の枯渇」の他、「大気汚染」も挙げているものがあります。メーカーサイドまで遡ってもきりがないと思うのですが、どのように考えるべきか教えて下さい。
Answer−
インプット側にある材料等は基本的に「天然資源の枯渇」につながるものが多いですが、次のような見方もできると思います。
<薬品>
 受入れ・貯蔵することによる危険性の増大 ⇒ 近隣迷惑の1つ
 さらに、火災による有毒ガスの発生 ⇒ 近隣迷惑の1つ
<電力>
 使用 ⇒ エネルギーの消費
貴金属材料は「天然資源の枯渇」につながらないものもあると思います。例えば、金冶金にする材料は形態を変更しただけで、どこかに消費されるわけではないと思います。これとは別に、プリントサーキット等に使用される金材料は、リサイクルされないとすると「天然資源の枯渇」ということになると思いますが、インプット側の項目をどこまで遡って影響評価するかは、ご指摘のとおりきりがありません。目安は「組織が管理でき、かつ、影響を及ぼせる範囲」であるかないかということです。この点から、電力の使用が大気汚染になるということは、電力ユーザーとしては考える必要はないと言えるでしょう。


Question−『文書の承認と朱印について』
品質記録を作成するにあたり、担当者⇒部門長⇒管理責任者⇒経営者のルートで流れる書類があるとします。書類が最終的に経営者に提出されたときは各確認印の全てを朱印(非コピー印)の状態にしたいのですが、各確認者は書き損じを考え鉛筆で加筆して、それをコピーして朱印を押す形を取り、それぞれの前者の印はコピー印(黒色)となり、最終的に全ての印が朱印(非コピー印)とはなりません。鉛筆書きのままでは改ざん防止にはならず、かといってボールペンでは書き直しができません。こうした場合、どういう方法を取ればよいでしょうか。あるいは、最後の確認者の印が朱印(非コピー印)で、それ以前の印は全てコピー印であっても品質記録として認められるでしょうか。
Answer−
原状のやり方をする限り全ての押印が朱印にすることはできないと思います。この書類は最終の確認がない限り正式な書類とならないのであれば最終の押印が朱印であればよいと思います。


Question−『組織変更と品質マニュアル改訂の対応について』
近々、組織変更を予定していますが、現状の品質マニュアルでは対応できないような大幅な内容と思われ、品質マニュアルの改訂が必要と考えています。組織の変更が先行し、品質マニュアルは遅れて改訂されるので、この間は品質マニュアルで規程することと実態が合わなくなります。組織変更が大幅になると聞いておりますので品質マニュアルの見直しも、時間がかかりそうです。また、標準類も同様です。この間の運営をどう解釈してやったらよいか教えてください。
Answer−
組織変更に伴う変更が単なる役割分担の変更だけであれば、品質マニュアル、標準類の改訂が済むまで暫定的に組織名称を読み替えて運用しているのが一般的ではないかと思います。組織変更がシステムそのものの変更であれば、品質計画書を作成して実施する必要があるように思われます。


Question−『品質目標が達成できない場合の対応について』
弊社では、部門別の「品質目標」を作っており、もうすぐ目標の期限が到来します。しかし、このままでいくと、目標達成の難しい部門があります。仮に、今回の目標が未達成の場合、次回の目標も今回と同様の目標にしてもよいでしょうか。
Answer−
質問に対する回答は「結構です」という答えになりますが、なぜ目標が達成できなかったかという原因を探求し、現在の進捗状況から考えて同じ目標を設定し、目標をクリアできるかを“レビューする”必要があります。その結果として、同じ目標を設定することは構いません。ただし、目標達成は継続的改善のための有力な手段ですから、漫然と既存の目標を再設定することは品質マネジメントシステムの5.4.2品質マネジメントシステムの計画a)項の趣旨に合わないということは言うまでもありません。


Question−『出張先も環境側面の対象領域か』
現在、ISO 14001を取得すべく活動しております。専用機器の設計、製造、販売及びサービスという事業の中で、完成機を却先宛に搬出した後、出張し、機械の「現地据付け及び調整」をする仕事があります。出張期間は、通常1日〜5日程度ですが、海外の場合は1か月に及ぶこともあります。環境側面の対象領域として、機械の「現地据付け及び調整」を含めなければならないものかどうか、お教えください。
Answer−
ご質問は、機械の「現地据付け及び調整」を環境側面の対象領域に「含めなければならないかどうか」ですが、結論として「本来は含めるべき」とお答えします。御社の機械の「現地据付け及び調整」活動は、当然のことながら排水/騒音・振動/臭気等の環境影響を考慮した活動にならなければなりません。 実際には、御社の製造する機械がどんなものか、または機械を「現地据付け及び調整」する部隊の、組織上の位置付けやその期間等によって、その考え方を柔軟に変える必要がありますが、原則としては、機械の「現地据付け及び調整」活動もEMS活動の範囲に含めるべきと考えます。


Question−『品質方針、品質目標の文書管理について』
94年版では、品質方針を品質マニュアルの中で宣明しました。2000年版では、4.2.1で、a)文書化した、品質方針及び品質目標の表明、b)品質方針及び品質目標と品質マニュアルは、別個の文書であることを要求していると思います。

@ 品質方針及び品質目標は、品質マニュアルの中で宣明すべきでしょうか、それとも、別個の文書として宣明すべきでしょうか。品質方針及び品質目標を社内に掲示することがしばしばあると思います。
A これらの掲示文書は管理文書でしょうか、それとも、非管理文書でしょうか。
B 品質マニュアルの中で品質方針及び品質目標を宣明した場合、文書番号の関係はどうするのが適切でしょうか。品質マニュアルに付与した番号とは別の番号を付与するのでしょうか、それとも、品質マニュアルの番号の枝番号という考えがよいのでしょうか。
Answer−
@ 規格上はどちらでも可です。しかし、品質マニュアルに品質方針を記述しないのは、貴社を代表する文書である品質マニュアルに経営者の品質に関する基本的な考えが記述されないことであり、好ましいことではありません。品質目標は多くの場合、年度品質目標であり、品質マニュアルに記述すると毎年の品質目標が替わる度に品質マニュアルの改訂が必要になるゆえ、品質マニュアルに記述しない方が使いやすいでしょう。
A 管理文書です。掲示しても常に最新版管理が必要です。
B 文書番号にこだわっていますが、文書番号を設定することを規格は規定していません。最新版の品質マニュアルに記述している品質方針と同じ日付の品質方針が掲示されていれば最新版は分かります。したがって、別の番号や枝番号は必要でありません。


Question−『品質目標と金銭的な目標との関係について』
現在、年度切り替えに伴い全社品質目標の制定、及び部門別年度目標の決定の作業を行っております。 この作業において社内で問題になりましたことは、目標を金銭的なこと、例えば「一般管理費の5%削減」ですとか「工事での粗利益率20%」などとしても問題はないか否かという点です。あくまで顧客に目を向けた品質マネジメントシステムであるという視点においては、全く的外れな目標でありましょうし、また、弊社の経営改善がしいては顧客の利益を守ることになるのではないかとの意見もございました。 これについて見解をお聞かせ願えればと存じます。
Answer−
「品質目標は組織のパフォーマンスの改善につながるように、設定するとよい(JIS Q 9004:2000)」とされています。例示された「一般管理費の5%削減」、「工事での粗利益率20%」などは組織のパフォーマンスの改善の成果として得られるものです。「一般管理費」、「工事での粗利益率」で顧客要求事項の達成、顧客満足度が決まるあるいは左右されるというのは顧客重視の姿勢が問われます。 品質マネジメントシステムの有効性と効率とを改善する際にプロセスアプローチを採用することが奨励されています。品質マネジメントシステムの立場はあくまでも顧客重視ですから、例示された目標の説明の仕方として次のようなことが考えられます。1つは、現在の品質マネジメントシステムは顧客要求事項の達成、顧客満足の点では効果的である。しかし、効率的でないというデータがあり、このデータ分析の結果、○○○、×××を品質目標として設定して実現することにより、より効率的なものにする(品質マネジメントの原則:意思決定への事実に基づくアプローチ)。 この品質目標を達成すれば「一般管理費の5%削減」、「工事での粗利益率20%」が実現する。もう1つは、会社経営上「一般管理費の5%削減」、「工事での粗利益率20%」を達成する必要がある。これを実現するためには品質マネジメントシステムをより効率的なものにすることが求められている。一般管理費、工事費に占める手順と資源を分析した結果、○○○、×××を品質目標として設定し、活動する。 したがって、いずれのケースも品質目標は○○○、×××であり、「一般管理費の5%削減」、「工事での粗利益率20%」は経営目標と位置付けるものと考えます。


Question−『登録外組織と同居している場合の認証取得の掲示について』
工場の敷地に「ISO 9001:2000認証登録工場」というような看板を掲げたいのですが、工場によっては登録組織外の部署が複数入った工場もあります。このような工場でも看板を掲げることができますでしょうか。
Answer−
大きな工場のごく一部のサイトあるいは製品がISO登録の対象であるような場合は、第三者にあたかも工場全体が登録しているかのような誤解を与えないよう配慮する必要があります。看板を掲げる場合は、登録範囲を明示することをお勧めします。


Question−『認証範囲外組織の名刺にロゴを入れられるか』
弊社は製造販売業で、本年3月27日付でISO 9001:2000を取得しました。今回取得の登録組織には営業部門は含まれていません。 登録組織外の営業部門でも名刺にロゴマークを印刷できますでしょうか。できないとしても、工場は取得している旨を記載できますでしょうか(営業部門はアウトソースとして管理しています)。
Answer−
登録組織外の名刺にロゴマークを印刷することはできません。ただし、例えば名刺の裏面に、工場名、所在地リスト等が印刷されている場合、該当する工場についてISO取得を示すことは可能です。


Question−『ISO 9001:2000の8.5.2e)の解釈について』
ISO 9001:2000規格にて「8.5.2是正処置f)是正処置において実施した活動のレビュー(参考f))における“是正処置において実施した活動”とは、a)〜e)の一連の活動のことである(8.5.3の予防処置でも同様)。」に対し、どのように対応すべきかご教示願いたく思います。 一般的な考え方の説明に加え、下記是正処置対応の簡単な具体的事例をもとにしてもお願い致します。

<是正処置/例>
1. 指摘事項:品質マニュアルの改訂教育がされていない(H14.6)。
2. 原因:略
3. 処置:H14.7に改訂教育を実施した。
4. 効果の確認:上記7月以降、10月に改訂された品質マニュアルの改訂教育もタイムリーな実施を確認し、是正の効果はあったことを確認した(H14.11)。
5. 一連の活動のレビュー:?????????????

1.〜4.までは従来から実施していましたが、「効果の確認」に加えさらに「一連の活動のレビュー」を実施かつ記録しようとすると、具体的記述内容などが疑問(効果の確認と同等)となってしまいました。
Answer−
「是正処置において実施した活動のレビュー」について、レビューをするということは、要は是正処置の適切性、妥当性、有効性を判定する活動です。提示された<是正処置/例>をレビューしてみます。“原因”の記述が省略されていますが、前後の記述から推測すると、“改訂教育が実施されていない”⇒“教育を実施した”この事例は典型的なよくない事例で、「是正処置」ではなく「不適合の処置」に終わっています。 「是正処置」は不適合の原因を明確にし、原因を除去して再発を防止することにあります。この事例では“なぜ改訂教育が実施されなかったか”を明確にし、それを除去しない限り問題は再発します。したがって、レビューの結果は「この是正処置は適切性、妥当性、有効性に問題がある」と判定されます。 規格の参考に記述されたとおり、どのような方法でレビューをするかを決めてa)、b)、c)、d)、e)の各活動の適切性、妥当性、有効性をレビューすることが大切です。


Question−『遠隔地事業所の内部監査のやり方について』
現在、当社では出先事業所への内部監査を、本社から内部監査員が事業所を訪問しての実地監査で行っています。94年版で3年間システム運用し、今年2000年版へ更新したのですが、これを機に、人員数の少ない出先事業所などは、記録を本社へ転送し、その上でメール、FAX、電話を使った方法で監査を行えないものか検討しております。 上記のように、直接現場(事業所)へ行くことなく、記録のチェックにより内部監査を行ってもよいのでしょうか。また、他社にそのような内部監査方法の事例はないのでしょうか。ご指導よろしくお願いします。
Answer−
内部監査は、単に記録類の確認に留まらず、現地での運用状況、保管状況の確認が必要です。したがって、あくまで現地へ監査チームが赴くことが原則的に求められています。ただし、当該事業所の規模、業務内容、システムとの関わりの程度を考慮して、内部監査の実施は、文書、記録を本社へ転送し本社の監査を受ける場合と、2〜3年ごとに内部監査員が事業所を訪問する方法を併用することも可能であり、要は監査効率と監査の有効性を上げる工夫がいると思います。 さらに、日ごろの発生した問題の大きさ、頻度に応じて(例えば、指摘の内容によっては現地での監査を計画する等)臨機応変の監査計画が必要かと思います。

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