ISO推進事務局の力強い味方!? こちらISO事務局

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◆ 品質/環境動向

★ 再生資源リサイクル業における放射線量管理について

 これは、私イワッチ@事務局員が再生資源リサイクル業界に一時期身を置いていたときの経験上の話です。
 2011年3月11の東日本大震災による巨大津波により東京電力福島第一原発事故が発生し、極めて多量の放射性物質が周辺各県に飛散しましたが、これらは降雨・降雪などにより地表面に降り注ぎ、沈着しました。
 私は宮城県北部で勤務していましたが、事故後しばらくは、高放射線量(0.3〜0.7μSv/h、通常は0.05μSv/h程度)が続き、放射線モニターが常に鳴り続けるような状態が続きました。
 業界情報によると、セシウムなどの放射性物質は薄手の鉄スクラップの錆部分に付着しやすく、付着してから半月以上時間が経過すると安定してしまい、除去がほぼ不可能となってしまうとのことでした。
 会社内でも高圧水洗などで除染を試みましたが、放射線量(0.4〜1.8μSv/h)の低下は見られず、除染ができないことを確認しました。
 なお、鉄以外のスクラップ(アルミ・ステンレス・銅などの非鉄スクラップ)への放射性物質の付着は見られず、鉄スクラップだけが放射能汚染され、除染できないことも確認しました。
 放射能汚染された鉄スクラップは受入しなければよいという考えもありましたが、このような対応は悪い方向にしか働かないため、なかなか実行できるものではなく、再生資源リサイクル業界各社は汚染状況にかかわらず鉄スクラップを受入れざるを得ませんでしたが、汚染鉄スクラップは搬出先もないため、在庫として山積みとなってしまいます。
 放射能汚染された鉄スクラップの山の近くで作業をするのは健康上非常に不安です。
 そこで、環境ISOコンサルタントの先生にこの件について相談してみたところ、(1)汚染鉄スクラップは他の正常スクラップとは隔離して保管すること(放射能汚染鉄スクラップ置場であることの表示を含む)、(2)必要時を除いて汚染鉄スクラップの周辺で作業しないこと、(3)汚染鉄スクラップの周辺での作業が必要な場合、作業者の特定、連続作業時間の制限などを設定すること、(4)汚染鉄スクラップ周辺の放射線量の定点観測を行うこと、(5)以上を手順として定めて、教育・訓練の上、運用すること、(1)〜(5)を実施するようアドバイスを受けました。
 汚染鉄スクラップの放射線量は上記で述べた程度でしたので、周辺で作業をしても健康上の影響はほぼないとは思いますが、まったくないとも言い切れないため、最低限、これらの実施は必要だろうなと思いました。
 また、以上に加えて、置場の土壌や水質の汚染(拡散の可能性を含む)への対策も必要かもしれません。
 放射能汚染された鉄スクラップは汚染状況にもよりますが買い手がない可能性が高いため、東京電力への請求対象になるかもしれません・・・うまくいけばいいんですけどね!
 私イワッチ@事務局員は、コンサルタントの先生からこの話をいただいて間もなくこの会社を離れたため実施のほどは不明ですが、もし、同じようなことで検討している会社さんがあれば、参考にしていただければ幸いです。


★ 労働安全衛生法の一部改正によるOHSMS導入実績の評価

 2006年、労働者の安全衛生に関する課題に対応するために労働安全衛生法が一部改正(平成17年11月2日公布)され、平成18年4月1日に施行される予定です。
 事業者の自主的安全衛生活動である労働安全マネジメントシステム(略称:OHSMS)の活用の効果が認められて、OHSMSを踏まえて定める措置を適切に行っており、かつ、安全衛生レベルが高いと労働基準監督署長が認めた事業者に対しては、次の免除措置が折り込まれる見込みです。
 この認定を労働基準監督署長から受けた事業者は、従来、建築物・機械構造物等の設置・移転・変更に必要であった事前の届出(労働安全衛生法第88条)が、設置後の事後報告で済むことになります。
 現在、法改正に伴う具体的な措置内容として政省令の制定が検討されております。OHSMSが労働安全衛生法に組み込まれ、労働安全衛生環境の向上のための手段として監査・認証を受けることが評価されることは、OHSMSのさらなる普及を促進するものと考えております。


★ 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格(ISO/IEC 27001)化について

 ISO(国際標準化機構)のSC27(セキュリティ技術分科委員会)で検討されている情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格(IS)化が、英国規格であるBS 7799-2:2002をベースにISO/IEC 27001:2005として、2005年内に発行される予定です。
 また、ISO/IEC 27001:2005のJIS化規格となるJIS Q 27001:2006は、2006年4月ごろに発行される見込みです。

1) 規格制定の動向
・ 2004年4月:シンガポール会議で、ISMS規格としてBS 7799-2をベースにISO化を決定。
・ 2005年4月:ウィーン会議で、投票結果によりFDIS(国際規格最終案)化を決定。
・ 2005年内:ISO/IEC 27001:2005としてIS化予定。
・ 2006年4月ごろ:JIS Q 27001:2006としてJIS化見込み。

2) 規格の名称
ISO/IEC 27001:2005:Information technology - Security techniques - Information security management system - Requirements (情報技術−セキュリティ技術−情報セキュリティマネジメントシステム−要求事項)

3) 改訂のポイント
 BS 7799-2:2002規格およびISMS認証基準(Ver.2.0)と比較して、ISO/IEC 27001:2005に大幅な変更はありませんが、主な変更点は次のとおりです。
・ 構成の変更:6章のマネジメントレビューにあった内部監査が独立して6章となり、7章がマネジメントレビュー、8章がISMSの改善に変更。
・ 要求項目の変更:ISMSの適用範囲と境界の定義および適用範囲から除外の正当化(4.2項)、管理策の有効性についての測定方法の定義と結果の確認(4.2.2項)、ISMSの有効性について定期的な見直しと管理策の有効性測定(4.2.3項)、是正処置および予防処置に対して関係者全員に適切な詳細レベルでの処置および改善の内容の伝達と合意確認の定期的な実施(4.2.4項)、ISMSマネジメントレビューにおけるインプットに有効性の測定結果とアウトプットに管理策有効性の測定改善の追加。
・ 詳細管理策の変更:10の分類・127の管理策が11の分類・133の管理策に変更

4) 今後の対応
 新規格への移行については、IAF(国際認定機関フォーラム)でもその詳細方法・スケジュールが決まっていません。また、認定機関ごとに対応が異なることが予想されます。


★ 廃棄物関係法律の改正について

1. 大規模不法投棄事案への対応

1.1 産業廃棄物事務などにかかわる事務分担の見直し

 従来、保健所を設置する市が産業廃棄物関係事務などを行う仕組みを見直し、政令で指定する市が当該事務を行うこととする仕組みに改める(第8条第1項および第24条の2関係)。
 また、PCB処理特別措置法についても同様の改正が行われた。

1.2 産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度の強化など

1) 産業廃棄物の運搬または処分を受託した者は、管理票またはその写しを環境省令で定める期間保存しなければならないこととする(第12条の3第8項および第9項関係)。
2) 産業廃棄物の処理を受託した者が、当該処理を終了し、または最終処分が終了した旨が記載された管理票の写しを送付など受けていないにもかかわらず、管理票の写しの送付などをしてはならないことを明確化すること(第12条の4第2項および第3項関係)。
3) 都道府県知事は、産業廃棄物管理票制度にかかわる違反行為に対する勧告を受けた事業者などがその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができることとするとともに、勧告に従わなかった旨を公表した後において、なお、正当な理由がなくてその勧告にかかわる措置がとられなかったときは、当該事業者などに対し、その勧告にかかわる措置をとるべきことを命ずることができることとする(第12条の6第2項および第3項関係)。
4) 産業廃棄物管理票制度違反にかかわる罪について、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処することとすること(第29条関係)。

1.3 欠格要件の厳格化など

1) 産業廃棄物処理業または廃棄物処理施設の設置の許可を受けた者は、欠格要件に該当するに至ったときは、環境省令で定めるところにより、その旨を市長村長または都道府県知事に届け出なければならないこととすること(第7条の2第4項、(第14条の2第3項および第14条の5第3項において準用する場合を含む)および第9条第6項(第15条の2の5第3項において準用する場合を含む)関係)。
2) 不正の手段により廃棄物処理業または廃棄物処理施設の設置の許可を受けた者などについて、法に基づく取消処分の対象とすること(第7条の4第1項、第9条の2の2第1項、第14条の3の2第1項(第14条の6において準用する場合を含む)および第15条の3第1関係)。
3) 暴力団員などがその事業活動を支配する個人について、産業廃棄物処理業および産業廃棄物処理施設の設置の許可などにかかわる欠格要件に追加すること(第14条5項関係)。

2. 無確認輸出の取締り強化

2.1 廃棄物の無確認輸出にかかわる罪について、5年以下の懲役もしくは千万円以下の罰金に処し、またはこれを併科することとするとともに、法人の代表者または代理人、使用人その他の従業員が当該違反行為をした場合における当該法人に対する罰金刑を1億円以下とすること(第25条第1項および第32条関係)。

2.2 廃棄物の無確認輸出にかかわる未遂罪および予備罪を新設すること(第25条第2項および第27条関係)。

3. その他の制度上の問題点への対応

3.1 無許可営業、無許可事業範囲変更などの罪に法人重課(*)を導入する。

3.2 平成10年6月以前に埋立処分が開始された最終処分場についても、維持管理積立金制度の対象とする(付則第3条第6項および第5条第6項)。

3.3 不正の手段により許可を受けた場合を取消事由に追加するなど、許可制度の厳格化を図る。

3.4 国庫補助負担金改革の結果、一般廃棄物処理施設にかかわる市町村への補助金が廃止されたことに伴う所要の措置を講ずる(第22条関係)。


★ 大気汚染防止法による揮発性有機化合物(VOC)の排出規制

 平成17年5月、7月に大気汚染防止法に基づく大気汚染防止法施行令、大気汚染防止法施行規則が改正されVOCにかかわる規制対象施設の指定と排出基準などが定められた。

1. VOCの排出規制と事業者の自主的取組みとを適切に組み合わせて(ベスト・ミックス)、効果的な排出抑制を図る。

2. 排出規制
・ VOC排出施設を設置し、または構造を変更する際には届出を義務付ける。
・ 既設のVSO排出施設については、平成18年4月1日から30日以内の届出を義務付ける。
・ VOC排出施設の排出口におけるVOC濃度の許容限度として排出基準を定め、その順守を義務付ける(別表による)。
・ VOCの排出施設におけるVOC排出濃度の測定および記録を義務付ける。
・ 計画変更命令、改善命令、罰則などを設ける。

規制対象となる揮発性有機化合物排出施設および排出基準
揮発性有機化合物排出施設 規模要件 排出基準
揮発性有機化合物を溶剤として使用する化学製品の製造の用に供する乾燥施設 送風機の送風能力が3,000m3/h以上のもの 600ppmC
塗装施設(吹付塗装に限る) 排風機の排風能力が100,000m3/h以上のもの 自動車の製造の用に供するもの 既設700ppmC
新設400ppmC
その他のもの 700ppmC
塗装の用に供する乾燥施設(吹付塗装および電着塗装にかかわるものを除く) 送風機の送風能力が10,000m3/h以上のもの 木材・木製品(家具を含む)の製造の用に供するもの 1,000ppmC
その他のもの 600ppmC
印刷回路用銅張積層板、粘着テープ・粘着シート、剥離紙または包装材料(合成樹脂を積層するものに限る)の製造にかかわる粘着の用に供する乾燥施設 送風機の送風能力が5,000m3/h以上のもの 1,400ppmC
接着の用に供する乾燥施設(前項に掲げるものおよび木材・木製品(家具を含む)の製造の用に供するものを除く) 送風機の送風能力が15,000m3/h以上のもの 1,400ppmC
印刷の用に供する乾燥施設(オフセット輪転印刷に供するものに限る) 送風機の送風能力が7,000m3/h以上のもの 400ppmC
印刷の用に供する乾燥施設(グラビア印刷にかかわるものに限る) 送風機の送風能力が27,000m3/h以上のもの 700ppmC
工業製品の洗浄施設(乾燥施設を含む) 洗浄剤が空気に接する面の面積が5u以上のもの 400ppmC
ガソリン、原油、ナフサその他の温度37.8℃において蒸気圧が20kPを超える揮発性有機化合物の貯蔵タンク(密閉式および浮屋根式(内部浮屋根式を含む)のものを除く) 1,000kl以上のもの(ただし、既設の貯蔵タンクは、容量が2,000kl以上のものについて排出基準を適用する) 60,000ppmC

注)「送風機の送風能力」が規模の指標となっている施設で、送風機がない場合は、排風機の排風能力を規模の指標とする。
注)「乾燥施設」はVOCを蒸発させるためのもの、「洗浄施設」はVOCを洗浄剤として用いるものに限る。
注)「ppmC」とは、排出濃度を示す単位で、炭素換算の容量比百万分率である。


★ 日本の品質−本質なきISOブーム

 「入札の参加要件からISO 9001をはずす」・・・。国土交通省は今年4月、直轄工事に対する建設会社の入札要件を改定。品質管理に関する国際規格ISO 9001の認証を取得していることとしていた条件を撤廃した。
 「公共工事入札の適正化を図るため、ISO認証を入札参加の資格の1つとして活用する」として2001年3月の閣議決定で条件に加えることにした。わずか3年でその方針を転換したことになる。
 国交省は「認証未取得でも品質管理に優れた会社はあり、そうした企業を排除すると逆差別になる」(技術調査課)と方針変更の理由を説明する。要は施工の技術・品質に優れた会社が集まるとは限らないことが明らかになったからだろう。
 「3年前の閣議決定を受けて、認証さえとれれば入札に参加できると安易に考える建設会社がたくさん現れた」。企業のISO 9001認証を審査する機関、建材試験センター(東京・中央)の森幹芳ISO審査本部長はこう認める。
 とくに中小の間に認証取得熱が広まった。現在、建設業のISO 9001取得は約15,000件で全産業トップの38%。今年3月までの1年で新たに取得した件数では実に全産業の5割を占める。「だが大量取得の8割は認証さえとれればいいというニーズだった」(業界関係者)。
 企業の認証需要急増を背景に、審査機関側にも異変が生じている。
 「審査機関の認定を取り消す」。9月8日、国交省管轄の財団法人港湾空港建設技術サービスセンター(東京・千代田)に1通の文書が届いた。差出人は日本適合性認定協会(JAB、東京・品川)。国際標準化機構のISOが認めた、日本で唯一のISO審査機関を認定する“元締”組織。お墨付きを失った同センター発行のISO 9001認定証は「紙切れ同然」となった。
 JABによると国内にはISO 9001審査機関が51ある。4年ごとにJABの更新審査を受ける仕組みだが、認定取り消しや一時停止が増えている。昨年と今年だけで取り消しが2件、一時停止が8件。品質をめぐる一連の企業不祥事が背景にあり、過去になかった現象だ。
 「目的意識の不明確な企業がISO取得に走り、それに応えて形式的な審査で安価に認証する機関が横行すると、ISOそのものの信頼性が失われかねない」(経済産業省管理システム標準化推進室)と行政側も頭を痛める。
 「そもそもISOの認証は取得企業の製品やサービスの品質そのものを保証しているわけではない」。ISO審査機関でもある財団法人日本科学技術連盟(東京・渋谷)の関係者はこう解説する。
 ISO 9001は審査機関の審査員が企業を訪問し、数か月かけて有料で実施するのが一般的。企業が製品やサービスに求められている品質を自覚し、目標を継続的に満たす仕組みを備えているかをISOの手順書に沿って確認する。
 理念としては経営者の姿勢や従業員の意識まで含めたチェックを求めているが、判断基準は明確にしにくい。実際には文書管理や資料保管の体制が整っているかなど外形的な基準を満たしているかどうか判断するケースもあるとされる。
 50回以上にわたるタイヤ脱落事故を引き起こし、度重なるリコール(無償回収・修理)経営危機に陥った三菱ふそうトラック・バス。同社は98年8月、財団法人日本ガス機器検査協会(東京・港)の審査でISO 9001の認証を受けていた。
 世論の批判もあり今年8月にその認証を“はく奪”された。2000年7月にクレーム隠し事件が発覚するなど品質にかかわる重大問題が表面化していたにもかかわらず、ISOの認証は結果的に管理上の欠陥を改善する何の効果ももたらさなかった。
 一方、トヨタ自動車は「もうISOにはこだわらない」と言い切る。同社はエンジン工場で95年にISO 9001を取得。取得企業は3年目ごとに更新審査を受ける仕組みだが、昨年3月に更新をやめた。「すでに自社基準でより厳しい品質管理を実行している」と“ISO卒業”を宣言する。
 日本水産も「ISOや法律が個々の商品の品質を守ってくれるわけではない」(井原直人・環境品質保証室長)として、より厳しい自社基準を設けている。
 たとえば賞味期限の設定。食品衛生法にある菌数などをもとに品質を維持できる期間が仮に100日間の製品であれば、日水はこれに自社基準の安全率0.8を掛けて最終的な賞味期限80日とする。
 同社は国内の自社工場のほとんどでISO 9001の認証を取得しているが、「形がい化してしまえば何の意味もない」(井原氏)。
 ISOをめぐる異変の数々。手段がいつしか目的となり、形式を整えるところまでで安心する・・・。日本企業の「品質経営」に潜む弱点が垣間見えてくる。


★ なぜISO継続・・・

 国際規格ISOの日本機関が、三菱ふそうトラック・バス(東京都港区)の欠陥問題で頭を抱えている。品質管理が「優良」とされるISO 9001を取得している同社の主力工場について、リコール(回収、無償修理)届け出後の今年3月、認証の取り消しを含めた検討を始めた。しかし、「三菱の経営に与える影響が大きい」などの理由から、2か月が過ぎても結論が出ていない。ISO制度は「ユーザー第一主義」というのだが―――。
 「欠陥を隠してユーザーを欺いた企業に認証を与えたままなのは良くない」。ISOの国内最上級組織である日本適合性認証教会(品川区)は3月、三菱ふそうにISOを認めた「日本ガス機器検査協会」(港区)に対し、見直しを指導した。ガス設備の点検検査を行う財団法人である同協会は、10年前に適合性協会から資格を得てISOの認証を行う審査法人となった。
 ガス協会から回答が届いたのは今月24日。「認証を継続したい」として、次のような理由が記されていた。
 ISOを取得している三菱の工場は、社内の設計部門から生産を請け負っている。だから、工場にとっての客は設計部門。車を使用するユーザーではない―――。
 「お客様は社内」という理屈だ。「これでは一般の理解は得られない」。本部の規定では、認証を取り消す権限は審査法人のみにある。適合性協会は回答を突き返し、再検討を求めた。
 ガス協会の幹部は28日、意向を聞くために三菱ふそうの本社を訪ねた。
 「認証の取り消しも含めて検討したい」。そう切り出した幹部に三菱側は強い難色を示した。ISOは輸出や世界各国の政府調達参入にものを言う。イギリス、カナダ、オーストラリアなどが調達条件に指定。欧州では一般消費者の関心も高い。認証がないと、競争力を損なう恐れもある。適合性協会によると、大企業が認証を取り消された例は過去にない。
 三菱の工場のISOは今年8月で満3年を迎え、更新期を迎える。ガス協会幹部は三菱側に「次の更新のための審査は引き受けられない」と伝えただけで、“取り消し問題”の決着はつかなかった。
 ガス協会内部では、「取り消しが、不祥事で傷ついた企業イメージをさらに損なわせるのでは」「損害賠償訴訟を起こされたらどうするか」など消極論が強いという。
 しかし、ISO本部の日本代表で、適合性協会で審査法人の適否を判断する委員会の委員長も務める飯塚悦功・東京大教授は、「認証は商売じゃない」と語気を強める。
 企業側が認証に支払う費用は、大手で200万−1,000万円ほど。ISO 9001の認証免許を持つ審査法人は、検査技術を持つ電気、建設業界系の公益法人など全国で約50団体。飯塚教授は「競争が激化して、審査法人はユーザーではなく、企業の顔色ばかりうかがうようになっているのでは」と話す。
 今回の三菱をめぐる問題でも、「審査法人が企業に相談に行くこと自体がおかしい。制度の公正な運用を妨げる行為といえ、癒着を疑われかねない」と危惧する。
 「取得しているISOは、図面通りに製品を作るレベルアップのために、効果を上げている」と三菱ふそうの広報担当者。
 「できることなら三菱が自ら認証を取り下げてほしいのだが」。ガス協会の幹部が口にした。(2004年5月30日読売新聞)。

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