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8.5.2 是正処置

 組織は、再発防止のため、不適合の原因を除去する処置をとること。是正処置は、発見された不適合の持つ影響に見合うものであること。
 次の事項に関する要求事項を規定するために”文書化された手順”を確立すること。

a) 不適合(顧客からの苦情を含む)の内容確認
b) 不適合の原因の特定
c) 不適合の再発防止を確実にするための処置の必要性の評価
d) 必要な処置の決定及び実施
e) とった処置の結果の記録(4.2.4参照)
f) 是正処置において実施した活動のレビュー

(参考)
f)における”是正処置において実施した活動”とは、a)〜e)の一連の活動のことである。

1. 再発防止が目的

この条項には、起きてしまった不適合に対して真の原因を見つけ、仕組みを直していくことにより同じような不適合が再発しないようにするための要求事項が規定してあります。

3.6.5 是正処置:
検出された不適合またはその他の検出された望ましくない状況の原因を除去するための処置

3.6.2 不適合:
要求事項(明示されている、通常暗黙のうちに了解されている、義務として要求されているニーズもしくは期待)を満たしていない状態

是正処置は、すべての不適合に同じ労力をかけるのではなく、重大性などに応じて重点志向で進めていきます。

2. 是正処置のステップ

是正処置に関する手順書(文書化された手順)が要求されており、そのポイントがa)〜f)に定められています。

不適合の取扱い、処置の流れおよびそのポイントを簡潔にまとめると次のようになります。

1) 不適合内容の確認
直接、現場で現物・現状の把握
波及範囲、二次被害の有無の確認

2) 応急処置の実施
現時点での現実的な応急処置、現物処置
不適合の波及先、二次被害の回避

3) 原因の究明
原因を究明し、特定(“なぜなぜ分析”などの活用)
発生原因と流出原因
初発と再発
 ・ 真の原因はシステム的な不備、欠陥、弱点にあり
 ・ 安易に人的要因(人の規律や注意力)に求めるのは不適切

4) 是正処置案の策定と必要性の評価
問題の大きさに対応し、生じる影響・被害に引合う程度
是正処置が必要か不要かというよりは、この程度の対策で問題ないかの評価
 ・ 「遭遇した問題の影響度に相応しい」を受けて、是正処置の程度を判断
 ・ 起こった問題に関連した類似点調査の必要性の見極め

5) 是正処置の決定と着手

6) とった処置の記録

7) 活動のレビュー
有効性の評価、記録(フォローアップを含む)

3. 不適合を吸い上げるプロセス

不適合に対する是正処置のプロセスと同様かそれ以上に不適合に関する情報を吸い上げるプロセスを確立して、機能させることが重要です。

不適合を吸い上げるプロセスの例を以下に掲げます。

・ 不適合のネタ(情報)を
・ 誰がどのようにして見つけ
・ いつ
・ どのようにして
・ どこに(誰に)吸い上げさせるのか

この仕組みを整備・機能させることが、是正処置のプロセスをうまく機能させる重要なポイントです。悪い情報ほど隠されたり、後になってから伝達されることが往々にしてありますから正確、かつ、スピーディーに吸い上げる風土と仕組みを構築する必要があります。

4. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
内部監査是正処置要求書の中で、不適合の原因が“失念しました”“忘れていました”ばかりになっていますが、これは原因ではなく、原因の特定がされていません。 原因の特定というとき、直接的な原因(表面的な原因)のみの特定で深堀しない習慣が身に付いてしまっている。最低3回ぐらいはなぜなぜ分析をするという習慣を植え付ける必要がある。
顧客クレームに対して「品質異常連絡書」は発行されていますが、是正処置の必要性の判断、処置内容、効果の確認の記録がなく、その不適合に対する是正がクローズしたのかしていないのか不明です。 顧客クレームを含む品質事故に対しては「品質異常連絡書」を発行することに重点が置かれ、その後の追跡は行っていなかった。
供給者起因の顧客クレームおよび受入検査での不適合が発生した場合の、供給先に対する是正処置要求の手順(要求の基準、様式など)が明確ではありません。 受入およびクレーム発生時の対応については外注担当部門に一任しており、仕事の忙しさもあって実際には管理されていない状況になっていた。
営業起因のクレームがあった場合、「品質異常連絡書」にて是正処置を実施していますが、実施後の効果の確認欄が空欄のままのものがあります(“2005年2月3日エイボンプロダクツ向け巻き数量変更”クレームの連絡書など)。 営業だけにかかわらず、クレームに対して(形だけのものも含めて)是正は行っているが、その後の効果の確認はまったく行っておらず、是正処置をやりっぱなしだった。
不適合製品の管理について確認したが、ほとんどの場合、「不適合製品」としての扱いおよび件数の把握、是正処置への取組みが、品質マニュアルに沿ったシステムの運用が確認できなかった。 工程中に不良が発生して受注数量を下回った場合には品質異常連絡書が発行されるが、それは不適合製品の管理・是正のためではなく、追加製造の許可申請書でしかなく、不良が多発した原因究明活動に展開していない。
顧客苦情を受け、その是正を品質異常連絡書に基づいて実施していたが、その是正内容により作業標準書(5HC-01)を改訂する必要があるが、その改訂した事実が見当たらなかった。 是正処置対策が作業標準に反映されていないため作業担当者までの周知が徹底されず、最悪の場合、是正対策が実行されない危険性がある。
「品質異常連絡書」の裏面に是正処置内容を記録するよう定めてあるにも関わらず、全く書かれていないものがあった。 a)不適合(顧客からの苦情を含む)の内容確認
「品質異常連絡書」の“是正 要・不要”の欄に記入がないため、是正処置が必要と判断されたのかどうか分からない。 c)不適合の再発防止を確実にするための処置の必要性の評価
2001-12-19発行の「品質異常連絡書」で是正処置としてテンション3kg⇒2.5kgに変更すると記載されており、原稿表紙チェックポイントに記載されているが、QC工程表または作業標準書の改訂がなされず、記載されていない。 d)必要な処置の決定及び実施、e)とった処置の結果の記録
対策書作成・提出後、是正処置が完結したことが何で分かるか不明確で、詳細の記述がない。 e)とった処置の結果の記録(4.2.4参照)、f)是正処置において実施した活動のレビュー
「品質異常連絡書」のすべての記入欄が埋められておらず、是正処置が完了したのかしていないのか分からない。 e)とった処置の結果の記録(4.2.4参照)、f)是正処置において実施した活動のレビュー
顧客クレームを発生させた際の原因の究明、および是正処置内容の効果の確認がされていない。関連帳票「品質異常連絡書」が規格要求事項を満たしていない。 次の事項に関する・・・確立すること。a)、e)、f)

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