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5.3 品質方針

 トップマネジメントは、品質方針について次の事項を確実にすること。

a) 組織の目的に対して適切である。
b) 要求事項への適合及び品質マネジメントシステムの有効性の継続的な改善に対するコミットメントを含む。
c) 品質目標の設定及びレビューのための枠組みを与える。
d) 組織全体に伝達され、理解される。
e) 適切性の持続のためにレビューする。

1. トップマネジメントの重要な責務です!

5.1 経営者のコミットメント」にもありますように、品質方針を設定することはトップマネジメント(最高経営層、経営層)の重要な責務の1つです。本条項では、トップマネジメントが品質方針を設定する際のポイントが規定されています。トップマネジメントはきちっと品質方針についてコミットメントしてください。

2. 品質方針とは?

まず、品質方針とはいったい何のことでしょう。ISO 9000:2000によれば、

品質方針:
トップマネジメントによって正式に表明された、品質に関する組織の全体的な意図および方向付け

と定義されていますが、下位への目標展開や実務に結び付いていくものでなければなりません。決して、精神論的なものやスローガンにはならないように気をつけましょう。

3. 品質方針の設定に当たって要求されていることは?

a)は、品質方針によって示される方向性と企業理念・会社方針などによって示される組織の目的とがマッチングしていることの要求です。組織の社会的な存在意義を含む大きなベクトルと品質面でのベクトルとが同じ方向を向いていれば強い推進力が得られますが、そうでなければ最悪の場合、力を相殺してしまう危険性さえあります。

b)は、ISO 9001:2000のテーマの1つでもある品質マネジメントシステムの有効性の継続的な改善、そして、規格要求事項・顧客要求事項・法的要求事項などの各要求事項への適合に対するコミットメント(責任を持って果たさなければならない責務の表明、意思決定)を品質方針に含めるように要求しています。

c)は、品質方針を品質目標へと展開し、レビュー(点検・見直し)するための一連の活動の仕組みを準備するという要求です。この仕組みのポイントは、

1) 目標を構成するため(目標展開するため)の方策
2) 実施できているかの監視・測定方法(フォローアップ会議など)
3) 達成度の評価
4) 必要な指示・追加の方法

であり、これらを組織の状況に応じて具体的にしていきます。この一連の活動の仕組みは「5.4.1 品質目標」に記述すればよいでしょう。また、品質目標を設定しやすくするという意味では、

・ 品質方針を具体的な(ブレークダウンした)内容にする。
・ 品質方針をもとにして最上位の品質目標や行動指針を設定する。

という方法も考えられます。

d)は、品質方針を組織全体へ伝達、理解させよ!という要求です。品質方針はただのお飾りであってはいけません。しかし、だからと言って、掲示板にしたり、朝礼などで唱和したりすることがよい方策とも思えません。各従業員に「品質方針!」といってもピンとは来ないと思われますので、品質目標にブレークダウンしてそれを各従業員の作業レベルにまで落とし込むというのが現実的ではないかと考えます。

重要なことは、品質方針を覚えていることではなくて、実際の行動に反映できるかどうかなのです。逆に言えば、行動に移せないような品質方針はすぐにでも見直したほうがよいかもしれませんね・・・。

e)は、活動、製品およびサービス、組織を取巻く社会環境が刻々と変化する中で、最初に立てた品質方針がいつまでも通用するでしょうか。古いままほったらかしにしておけば現実とのギャップがどんどん大きくなっていき、陳腐化の一途をたどるだけです。それを防止するための要求がこれです。

品質方針をレビュー(点検・見直し)し、常に品質面での先陣を切れる状態にしておかなければなりません。もちろん、この状態を維持するためにはレビューの頻度、機会、方法などの仕組みをあらかじめ準備しておく必要があります。 レビューの頻度に関しては、マネジメントレビューのときに併せてやってしまうのが一番効率的ではないかと考えます(レビューに必要な資料が集まりやすいですし、それなりの面々が集結するはずですから・・・)。

レビューの結果、品質方針が変更された場合は、掲示しているものを含め、文書としての管理もしっかりやりましょう。「4.2.1 一般」によれば文書化した品質方針は品質マネジメントシステムの文書に含まれ、「4.2.3 文書管理」が適用されます。

図 体系的な“方針管理”による効果的運用
図 体系的な“方針管理”による効果的運用

4. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
品質方針の周知・徹底について、その方法を確認したところ、朝礼・ミーティング時の唱和を実施していたが、一部の職場ではその唱和を経営理念・方針は行っていたが品質方針については行っていなかった。 経営者から経営理念・方針の唱和を強く要求されていたこともあって、品質方針よりも経営理念・方針が優先される傾向があった。

★ヤッスー部長より一言★

品質方針で一番問題になるのは、ただの“お飾り”になってしまうことでしょう。当方も含め、いろいろな会社や組織の品質方針を目にするたびに「どこもほとんど同じだなぁ」という印象を受けます(環境方針ほどではないですが)。 活動、製品・サービスの特徴(=組織の特徴)が見えてくるような品質方針は滅多に見つけることができません。組織名を変えればどこでも通用するような品質方針には従業員も心動かされません。

魅力的な品質方針だからこそ、「よし、ちょっとがんばってみようかな」と思わせ、行動の変化となって表われてくるのではないでしょうか。“とりあえず他社並みに作っておけばいい”から“組織全体の心を動かす”へ品質方針をシフトアップしていければ、品質方針の“お飾り”状態から卒業できるのではないでしょうか。

それから、品質方針の達成状況の監視・測定は規格の中では言及されていないと思いますが、どうなんでしょうね。品質方針を“お飾り”にしないためにも監視・測定の対象にするっていうのはありじゃないんでしょうかね。

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