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7.5.4 顧客の所有物

 組織は、顧客の所有物について、それが組織の管理下にある間、または組織がそれを使用している間は、注意を払うこと。組織は、使用するためまたは製品に組み込むために提供された顧客の所有物の識別、検証及び保護・防護を実施すること。 顧客の所有物を紛失、損傷した場合または使用には適さないと分かった場合には、顧客に報告し、記録を維持すること(4.2.4参照)。

(参考)
顧客の所有物には知的所有権も含まれる。

1. 所有権によって扱いが変わる!?

94年版では、顧客から支給される物品に対して有償/無償にかかわらず顧客支給品の管理が要求されていましたが、2000年版では「顧客の所有物」という条項名からも分かるように、厳密には所有権がどちらにあるのかということでその取扱いが変わってきます。

原則としては、無償支給品を本項で取扱い・管理し、有償支給品は「7.4 購買」で管理するのが無難と考えられます。

顧客の所有物としては例えば、

・ 加工外注での支給素材
・ 開発環境の提供
・ テスト機器の貸与
・ 技術・知識
・ 知的所有権

などが挙げられるでしょう。

2. 顧客所有物を管理する目的と流れ

顧客の所有物を管理しなければならない最も直接的で大きな目的は、顧客から支給されたものをよく確かめ、何か異常や問題が見つかったとしても顧客から責任をなすり付けられない(身の証を立てられる)ようにすることと考えられます。

もちろん、製品に組込む部品・原材料を正しい状態で使えるようにすること、いずれ顧客に返却しなければならないものを受取ったときと同じ状態に保つことが大前提の目的ではありますが・・・所有権は顧客にありますから!

顧客の所有物の管理の大きな流れ・ポイントは次のとおりです。

1) 受入検査

2) 識別
顧客のものであることが分かるようにすること。

3) 保管・保護・防護
防護とは、囲いをしたり、保管室に鍵をかけたりするなど、セキュリティも含めて顧客の所有物を守ることです。

4) 使用・組込み

3. 顧客情報の管理

顧客の所有物にはハード主体の有形物だけでなく知的所有権や知的財産のような無形物も含まれることが参考にも書かれていますが、これには今、話題(?)となっている顧客情報の管理も含まれます。IT関連企業などによる顧客情報の流出は当該顧客はもちろんのこと、社会的にも大きな損害・信用の失墜を与えてしまいます。

Pマーク(プライバシーマーク)やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム、ISO 27001規格化予定)の導入による情報の漏洩防止などのセキュリティ対策も場合によっては必要となってくるかもしれません。

4. とくに印刷業界において

印刷業における版下、製版フィルム、DTPデータなどの取扱いに関して注意すべき事項がありますのでご紹介します。

印刷物の発注・受注という印刷取引は、印刷会社が発注された印刷物を完成し、これを発注者に引渡すことを内容とする取引です。これは、仕事の完成を目的とする民法上の請負契約に当たります。

印刷物の製作請負契約に基づいて、印刷会社は請負った仕事を完成させてでき上がった印刷物を引渡し、発注者はその印刷物の完成に対して請負代金を支払います。

版下、製版フィルム、DTPデータ、抜き型などは、印刷物を完成させるための1つの手段として作製されるものであり、言い換えれば印刷工程上の中間生成物です。これら中間生成物はいずれも印刷請負契約の目的物ではなく、その所有権は印刷会社に帰属しています。したがって、中間生成物の法的性質として基本的には発注者に引渡す義務はありません。

製版代、データ作製料、プログラム作製代などが印刷代金と区別して支払われている場合であっても、これをもって中間生成物の所有権が発注者に帰属する理由にはなりません。これらは印刷物という仕事の目的物を完成させるための一種の技術料、ノウハウ料であるとされています。

以上のことから、これらの中間生成物の処分は印刷会社の責任において廃棄物処理法に基づいて行われなければなりません。

また、所有権と著作権は法的にまったく別の権利です。所有権とは、ものを排他的に使用・収益し、処分することができる権利です。一方、著作権とは、文章、絵画、写真、音楽などの作者だけが有する、それらの作品の複製権です。

一般的に、印刷物の中身は著作権があるもの、あるいは著作権がなくても経済的価値がある情報がほとんどです。印刷会社は中間生成物の所有権者ではありますが、これらを発注者に無断で使用することはできません。

5. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
商品コード123456(○○向け製品)の件で顧客より支給されたFDは空であったことが記録されているが、品質マニュアルで定められた「支給品不具合報告書」が発行されていない。 顧客の所有物を紛失、・・・、顧客に報告し、記録を維持すること。

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