|
前のページへ|目次へ|次のページへ
5.5.1 責任及び権限
トップマネジメントは、責任及び権限が定められ、組織全体に周知されていることを確実にすること。 |
1. 役割、責任・権限をはっきりさせましょう!
ISOでは、「誰が(どこが)、何をする責任(権限)がある」のかをはっきりと決めるように要求しています。
日本では、どちらかと言うと「手の空いている人、できる人がカバーする」「決められている範囲以上の能力を発揮して当たり前」のような文化が根強く残っていますが、いざというときに責任者不在の状態にならないためにもそれぞれの守備範囲をはっきりと決めて、穴がないようにしておく必要があります。
ここで、「責任」と「権限」の意味合いを簡単に述べておきますと、
責任(responsibility):
職務上、義務上(道義上)実行しなければならないこと(または、その状態)
権限(authority):
命令を下し従わせる権力、決定や処置を下す能力
となります。
本条項の要求事項を現実的に満たすためには、とくに文書化の要求はありませんが、
・ 組織図
・ 業務分掌、職務分掌
・ ISOシステム分担表
などにより組織内の責任・権限、相互作用を表しておくと、周知・徹底のための材料にもなります。
なお、周知・徹底とは相互コミュニケーションのことなので、組織や役割・責任・権限を一方的に社内に通知・通達、あるいは掲示することとは違います。
この際、「誰が、何を決定(承認)するか」といった「決定(承認)事項一覧表」のような実務レベルでの整理を行うことにより、「決定者(承認者)の一元化」や「可能な限り下位への権限委譲」への見直しにつなげることができます。
意外と責任の所在が不明確であったり、確認・承認のムダが見つかることがあるかもしれません。
2. 不適合・改善要望事例と考察
不適合・改善要望事例 | 考察 |
「表5.5.1-1 品質マネジメントシステム分担表」は各職制とマニュアル項目に対する星取り表となっていますが、製造部長の7.5.1に対する責任・権限は◎ではなく○となっていました。 |
逆に、営業本部長の7.5.1が◎となっており、表作成時の入力ミスと推測されるが、確認不足により最新版として発行してしまった。 |
是正処置に対する責任・権限が、責任者不在の場合も含めて定められていないため、誰が何をどこまでやればいいのかはっきりしていない。 |
トップマネジメントは、・・・確実にすること。 |
★ヤッスー部長より一言★
責任・権限を上層に集中させてしまうと機能マヒを起こし、書類に承認印を押してもらうために提出したら音沙汰なくなってしまったなどということが発生してしまいます。
決定・承認の対象物の(品質的・経営的な)重要度に応じて責任・権限を適切に下位層へ配分することで、決定・承認がうまく機能し、各人のスキルアップにもつながることが期待できます。
それから、とくに中小企業では兼務(1人で何役もこなす)はやむを得ない場合がありますが(現実的に兼務が多いと思いますが)、過度の兼務は機能不全(能力オーバー)を引き起こす原因にもなり得るので、極力避けるべきです。
<格言> ⇒格言募集中!
・ 役割、責任・権限をあいまいにしていると責任の擦り付け合いが頻発する
・ 上層部ほど役割、責任・権限を明確に、そして実行するべし!
|
前のページへ|目次へ|次のページへ
|