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4.2 環境方針

 トップマネジメントは、組織の環境方針を定め、環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、環境方針が次の事項を満たすことを確実にすること。

a) 組織の活動、製品及びサービスの、性質、規模及び環境影響に対して適切である。
b) 継続的改善及び汚染の予防に関するコミットメントを含む。
c) 組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を順守するコミットメントを含む。
d) 環境目的及び目標の設定及びレビューのための枠組みを与える。
e) 文書化され、実行され、維持される。
f) 組織で働く又は組織のために働くすべての人に周知される。
g) 一般の人々が入手可能である。

1. トップマネジメントは、・・・

環境方針は、環境という切り口から見た経営方針・方向性を示すものであり、その経営的な役割・位置付けは、

・ 環境活動の原動力
・ 環境目的・目標設定の基礎
・ 外部に対する環境的なアピール

と考えます。

環境方針は、トップマネジメント(組織や企業のトップまたはそれに代わる者)が設定しなければなりません。つまり、社長や代表取締役、あるいは取締役会などが環境方針を設定することになります。 ただし、トップマネジメントがすべてを作るのが無理な場合はISO事務局などが素案を作成し、それをもとにして環境方針を樹立するという方法もあります(トップマネジメントが承認していなければ無効なのは言うまでもありません)。

環境方針を設定する際、初期環境調査を実施していればその結果が環境方針を設定する上での材料となり得ます。また、このことにより、その組織ならではの環境方針ができ上がっていくでしょう(どこにでもありそうな環境方針を打ち立ててもつまらないですし、審査員からの指摘の対象にもなりかねません)。

2. a) 組織の活動、・・・

環境方針は、組織の事業活動、製品およびサービスに伴なう環境影響にふさわしい程度の内容でなくてはなりません。これは、環境方針として明言する必要はなく、環境方針全体、環境マネジメントマニュアル、その他から読み取れればOKということになります。

環境方針は、社名を変えたらどこでも通用するような一般的な内容では何の意味もありません。また、環境に対する社会情勢の変化、法規制の新規制定や改正、事業活動の変更、環境マネジメントシステムの見直しなどにより常に見直し・改訂されるべきものであることも頭の中に入れておいてください。

3. b) 継続的改善及び汚染の予防に・・・

継続的改善とは、組織の環境方針に沿って全体的な環境パフォーマンスの改善を達成するための環境マネジメントシステムを向上させるプロセスのことです。ここで注意することは、改善するのは環境パフォーマンス(環境への具体的な影響)ではなく、システム自体だということです。 環境パフォーマンスの改善はあくまでも結果でしかないのです。

汚染の予防とは、汚染を回避し、低減しまたは管理する、工程、操作、材料または製品を採用することで、リサイクル、処理、工程変更、制御機構、資源の有効利用および材料代替を含みます。 この項はISO 14001の目的の1つであり、組織としてより具体的にどのようなことに取組むのか(例えば、大気汚染、水質汚濁、廃棄物など)述べておくことがとても重要です。 ここでこそ組織の環境に対する姿勢を示すことができますので、環境方針を外部へ開示することも考慮してちょっと大胆なくらいの内容を述べてもよいかもしれません。 また、“コミットメント”という言葉は宣言的な強い意味合いで使われています。組織の決意表明と言ったところですね。

4. c) 組織の環境側面に関係して・・・

組織、企業は最低限の条件として適用される法規制、その他の要求事項を順守しなければなりません。これは環境方針としてそのまま謳わなければならない項目であり、ISO 14001のもう1つの目的でもあります。その他の要求事項には、住民協定、業界の行動規範、公的機関との同意事項、規制以外の指針、顧客からの要求などがあります。

当方は印刷関連会社ですが、印刷業界グリーン基準(グリーン購買基準)、顧客からの廃棄物処理要求、環境有害化学物質の使用規制などが課せられています。これらも法規制同様に順守しなければなりません。

5. d) 環境目的及び目標の設定及び・・・

環境方針を達成するために、組織、企業は環境目的と目標を設定することになります。この項目もそのまま環境方針として謳うべき項目ですが、関連する何らかのキーワード(目的・目標の設定、および見直し)が含まれていればよいでしょう。

最も重要なことは、環境方針の内容が目的・目標にまで落とし込めるような、組織の実状をとらえた適切なものとなっているかどうかということです。

6. e) 文書化され、実行され、・・・

環境方針は文書化されていなければなりません。環境マネジメントマニュアルや社内掲示板などに文書化されていればよいでしょう(掲示板に文書化されている場合は、文書管理の対象となります)。また、当然、達成すべきトップマネジメントからの使命として実行され、維持されなければなりません。 そのためには環境方針が全従業員に周知されていなければなりません。“周知”に関して、よく、カードを配るとか掲示することで対応している場合が多々ありますが、本来の意味は、十分に理解され、自分の作業に生かせるような状態にすることなのです。 このような場面で、トップマネジメントの決意表明や意思決定の強さが確実に影響してきます。

7. f) 組織で働く又は組織のために・・・

環境方針の周知の範囲は全従業員だけでなく、「組織で働く又は組織のために働くすべての人」も含まれます。つまり、適用範囲の中で働くすべての人、そして、組織のために働く人が周知の対象となります。「組織のために働く人」とは、パート・アルバイト、派遣、協力会社・購買先の従業員などが該当します。

環境方針の周知とは言っても方針そのものを形式的に伝達しても何の意味もなく、実施する業務と環境方針とのつながりを考慮して適切な形式(規則、指示、手順など)に変換して必要な事項を伝達すればよいでしょう。

8. g) 一般の人々が・・・

環境方針を一般(組織、企業外の人、地域住民など)に公開する仕組みと実行方法を作っておく必要があります。また、環境方針の内容は一般の人が理解できる程度である必要もあります。公開する手段としては次のようなものが考えられます。

・ パンフレット、広告・チラシの配布
・ ホームページへの掲載
・ 社内外掲示板への掲示
・ 会社報、環境報告書への掲載
・ 名刺裏面への掲載

9. 質問と回答

質問内容 回答
FDIS版では“環境方針を、組織で働くまたは組織のために働くすべての人に周知すること”を求めていますが、どの範囲までと考えるべきですか?
(たとえば、従業員、パート、アルバイト、人材派遣、1次外注業者、QMSにおけるアウトソース先、製品運搬業者、施設外での作業の委託先、EMS適用範囲外の人)
“組織で働くまたは組織のために働くすべての人”については、組織ごとに種々のケースが考えられますが、現時点では、以下のように解釈しています。
“組織で働く人”とは、組織が雇用している人と考えられます。したがって、従業員、パート、アルバイト、人材派遣などが環境方針の周知対象と考えられます。
以下に示した“組織のために働く人”については、環境方針または環境方針に基づく要求事項(規則、指示、手順など)を伝えることが必要です。

@ EMS適用範囲内の施設での業務を委託する業者(たとえば、施設の運転や整備業務の委託先、工事業者など)が周知の対象と考えられます。
A 組織が購入する物品の供給業者や製品の運搬業者。購入物品や製品の運搬に関し、組織が管理すべき環境側面がある場合は、該当すると考えられます。
B EMS適用範囲外の施設での業務を委託する業者(たとえば、産業廃棄物の収集・運搬や処分の委託先、製品の外注加工の委託先など)は、各委託業務に関し、組織が管理すべき環境側面がある場合は、該当すると考えます。
“組織のために働くすべての人”に環境方針を周知する方法として、以下の方法は問題ありませんか?

@ 協力会社の作業員に直接伝達するのではなく、当該会社に伝達する。
A 協力願いという形で方針を手渡す。
対象となる会社に、環境方針または環境方針に基く要求事項(規則、指示、手順など)を伝え、当該会社の従業員にその意味を理解するように依頼することでもよいと考えます。

10. 関連サイト・書籍など

11. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
2004年版規格では環境方針の周知の対象は“組織で働く、または組織のために働く人”となっているが、環境マニュアルからはとくに“組織のために働く人”がはっきりと読み取れない。 この部分はとくに意識していなかった。“組織のために…”は4.4.6の外注・仕入先業者の管理で対応しているが、はっきりさせよと審査員から指摘を受けた。

★ヤッスー部長より一言★

審査におけるトップレビューの際に、必ず最高経営層は環境方針を設定した経緯、環境方針に対する思いや考え、組織全体への浸透状況などについて尋ねられます。 審査前に考えをまとめておくとよいと思います。

ところで、環境方針をうま〜く浸透させる方法って何かないんでしょうかねぇ。朝礼での読み合わせ・復唱やカードの配付、掲示などをやっていますが形だけという感じで効果のほどについては審査員からも問われてしまいます・・・。

当方での環境方針の設定(悪い例)は、まず、ISO事務局が素案を作成し、インターネットで他社の環境方針を集めて素案とともに社長に提出し、社長が環境方針としてまとめ上げたものをさらにISO事務局で修正の上、社長が承認するという極めて面倒、かつ、意味のない作業を通じて設定されました。

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